海外との契約書も電子署名で行われる時代に -エストニアの事例から

2013年12月10日のフィンランド訪問を控えた12月9日、エストニアのアンシプ首相はフィンランドのカタイネン首相との間で、電子政府と情報社会の二国間協力に関する政府間協定を締結した。IDカードを使用して行われたこの覚書は、我々(エストニア観光局)の知る限りでは、世界初となる電子署名による首脳同士の締結となった。

両国は長年に渡り、この分野において深い協力関係にあり、エストニアも多くのことをフィンランドから学んだ。デジタルIDはその一例で、今回はエストニアが開発したデータ交換基盤をフィンランドが共同開発というかたちで採用することとなった。

エストニア人やエストニア企業にとって、この電子署名サービスは欠かせないものとなっている。日本では「マイナンバー法」は国会を通過したものの、まだあまりピンと来ないかもしれない。しかしながら、世界の潮流は確実に電子手続へと流れを変えている。

例えば企業間で契約書を交わす場合、日本では原本を印刷して、署名押印をして送付、相手方も同様に署名、押印、返送ということを繰り返す。国内での契約でも通常は、相手方の会社に出向くか郵送となるが、国際契約の場合には一週間程度はかかってしまい、そのコストも軽視できない。

これがエストニアではIDカードをPCに挿すか、携帯電話のモバイルIDで署名を行なうことが可能となっている。国際取引においても数分で契約を完了することができる。出張中でも、契約書や社内稟議の署名を行なうことができるメリットは大きい。

例えば今回の締結により、フィンランド政府は申請された番号かエスストニアのデータベースに本人情報を自動で確認する事になる。フィンランド政府は、これらの情報がエストニア側にあった場合、本人や当該企業に関する同一情報を再度収集することはできない(照合は複数回可能だが、情報の収集は1度のみ)。

また、参照できる情報は、その人の権限によって異なり、参照の目的も明らかにされる。国民は、不適切なアクセスを発見した場合、当局に問い合わせることが可能で、不正な参照が発覚した場合には、不正を犯した個人は即日解雇、さらに第三者にその情報を提供していた場合には禁固刑という規則の下に、運営されている。

エストニアにおける電子ソリューションの一部は、「ICTデモセンター」で見ることができ、視察の手配も同センターで、無料で行なっている。日本での講演や概要説明、電子署名のデモに関しては、エストニア観光局が窓口となっている。

  • エストニア観光局 山口功作

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