現在、全世界のネットユーザーは24億人、2025年までには50億人になるといわれている。世界中で人々がSNSなどを含めて検索する数は60秒間におよそ約300万回、メールは2億通―――。こうしたネット環境が劇的なスピードで進化する中、旅行業はどのような対応ができるのか。
こうした疑問に対して、グーグル(Google)社の広告営業本部統括部長の陳内裕樹氏がこのほど開催された「JATA経営フォーラム2014」分科会プレゼンテーションで同社からの提言を行った。同氏の考える今後の旅行業のキーワードは「デジタルシフト」だ。(同分科会のレポートは後日掲載する)。
プレゼンテーションで、同氏は昨今の消費者が「変化している」点を強調。その最大の変化がデジタル化で、この変化に「いかにスピードを持って対応できるか」が重要と語った。日常の情報収集の手段が紙からデジタル媒体へ、特にスマホへのシフトは急速に拡大しており、同社の検索数は2013年8月にスマホがパソコンを超え逆転。同氏によると「85%のモバイルユーザーがローカル情報をとっており、消費行動に結びつくのも特徴」だという。
また、アジアのスマホユーザーが2017年には現在の2倍以上になる21億人となるデータも紹介。スマートフォンへの対応が急務である点を示唆した。同氏は「海外旅行者全員が図らずもウェブを使う世の中に激変する」として、その対応で重要なのは「組織と意思決定」と強調。旅行業の経営者にオンライン販売をすることだけでなく、「デジタルマーケティング部」をつくることを提案した。また、さらには「スマホ担当役員」を置き、その責任者を明確にすることで、さらに変化への対応が加速できるだろうと語った。
一方、デジタル化が進んでも、旅行会社には顧客理解とホスピタリティがますます重要性を増すとの考えだ。デジタルシフトとソフトの充実の両面を整備することで、グーグル全社としては「旅行業界の未来は明るい」と考えていることを紹介。今後も旅行者に便利なプラットフォームを整備・開発していく同社の方針を明かし、「Googleを活用してほしい」と呼びかけた。
(トラベルボイス編集部:山岡薫)
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