日本進出した米国発の旅行予約「ホッパー」代表に聞いた、日本特有のサービスからパッケージツアー参入まで

三井住友カードとともに、クレジットカード会員・V会員向けの旅行予約サイト「Vトリップ」を開始したオンライン旅行予約「ホッパー(Hopper)」。膨大なデータをもとに、AIで航空券やホテルの価格動向を高精度で予測し、航空券の「価格凍結」が起爆剤となって急成長した同社が、いよいよ日本で第一弾となる事業を開始した。

同社は、グローバルでの成長を果たす戦略で、消費者向け事業は北米限定とし、それ以外の市場ではHopper Technology Solutions(HTS)によるBtoB展開を中核事業と位置付けている。今後の日本での事業は、どう進めるのか?「Vトリップ」の発表記者会見で、来日したPresident兼共同創業者のダゴダ・スミス氏に聞いてみた。

― 日本市場への期待はどうか?

日本市場には、とても大きな期待をしている。

日本は、国内旅行市場が大きく、購買力がある市場ととらえている。キャッシュレス化や旅行のオンライン予約が拡大しているところで、成熟した市場ととらえているが、まだまだ伸びる余地があると考えている。そのような市場での最初の事業で、世界でも有数の金融機関SMBCとともに展開できることはなによりだ。

― 日本で、どのようにビジネスをすすめるか?

日本人顧客のために旅行代理店としてビジネスを展開する。旅行会社ではない金融機関(三井住友カード)が、私たちと組む意味もそこにある。私たちは、日本を含む30か国で事業を展開し、それぞれの国で必要な対応をおこなっているが、日本でも特別な対応は必要だ。

このため、日本で展開するサービス開発で、昨年から積極的に採用をすすめている。現在、開発エンジニアが東京で10名程働いている状況だ。SMBC側でも、多くの人材を投入してもらっている。

※編集部注:同社の日本法人Hopper Japan合同会社は、2024年12月12日に東京都で旅行業第3種への登録をおこなった。

― 今後、日本でのビジネスを拡大していく計画は?

今回のSMBCとの契約は、日本の金融機関では独占的なもの。今回のVトリップは、日本での事業のスタートであり、今後は金融機関以外の業種にもパートナーシップを拡大していきたい。たとえば、航空会社、ホテルなどと組んでいくつもりだ。アジアでは、すでにエアアジアなどとの協業も進めている。

OTAと組む可能性もある。日本を含め、各国でさまざまなパートナーと協議をすすめている。

― 日本独自のカスタマーサービス、ローカライズへの考え方は?

これまでVトリップの準備を進めながら、SMBCとともにチームとして日本人が満足できるサービスを構築してきた。大変な道のりだったが、それ自体が、日本でのローカライズだった。

日本特有サービスとしては、カスタマーサポートを充実させる。日本語コールセンターの設置や、AIチャットボットなどで顧客対応をおこなう。カスタマーサービスは、北米でも注力している分野だが、顧客から求められる基準が高い日本市場では、日本人が日本語で対応することが重要。ここは、コストをかけても、当然やるべきと考えている。

今後は、Vトリップでパッケージツアーを第3四半期に提供する予定だ。ホッパーが得意とするフィンテックサービスについては、今年後半に拡充させていく。現在、それらのサービスを日本にあわせて提供できるように準備を進めている。

ホッパーPresident兼共同創業者のダゴダ・スミス氏(左)、三井住友カード代表取締役社長の大西幸彦氏(右)

― 今後、どんなサービスを提供する?

グローバルプラットフォームを基盤としているが、新しいプロダクトを作っていく可能性はある。2018年頃は、取り扱いは航空券だけだった。その後、時間をかけてホテルやレンタカーなどにカテゴリを拡大してきた。今後は、アクテビティなどの分野に拡大していく予定はある。

― 日本の宿泊施設の仕入れは? 旅館への関心は?

現在、Vトリップに掲載している2万軒のホテルは、我々のローカルパートナー向けのチームが施設と直接契約しているケースと、代理店経由で仕入れをおこなっているケースがある。また、世界のホテルチェーンとのグローバル契約の中で、日本の施設を掲載しているところもある。

日本の「旅館」への関心は、もちろん高い。それは、我々の関心が高いというよりは、グローバルのユーザーからの関心が高いということだ。日本のチームが旅館との契約に注力をし、今後は旅館との契約(掲載)数も増えていくだろう。

Vトリップでは、今秋にパッケージツアーを発表する予定

ホッパーの名を有名にしたのは、航空券の価格予測データをもとに、予約した航空券の価格が予約時より上昇すれば差額はホッパーが負担するプライスフリーズ(価格凍結)などの革新的なサービスだ。2019年の開始以来、ミレニアル世代やZ世代から人気を集め、急成長を遂げてきた。三井住友カードとのVトリップで日本市場に参入した同社のサービスが、今後、日本でどのように拡大していくか、注目したい。

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