ブランド総合研究所が発表する「地域ブランド調査」。毎年、最も魅力的な市区町村や都道府県、ランキングの最下位県などが注目されるが、2014年の調査ではトピックの一つとして、世界遺産登録決定の影響が取り上げられた。
2014年6月に「富岡製糸場と絹産業遺産群」が登録された富岡市は、情報接触度が前年よりも30.1点増加の40.0点、順位が501位から26位に大きく上昇。魅力度も10.5(前年:1.9)点、観光意欲度も22.4(12.6)点と大幅に高まった。ただし群馬県は情報接触度、魅力度、観光意欲度はほぼ前年並みの推移だった。このことから、世界遺産登録決定に関連した情報接触で富岡市の認知が高まり、魅力と観光意欲が評価されたが、県への効果は限定的だったとしている。
一方、2013年に世界遺産に登録された「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」では、富士吉田市や富士市、山梨県、静岡県の推移を発表。富士吉田市や富士市では情報接触度、魅力度、観光意欲度が2013年よりも低下しているものの、登録以前の2012年より高い水準を維持した。ただし、都道府県単位では2013年も大きな上昇は見られず、2014年は情報接触度、魅力度、観光意欲度ともに2012年並み、または下回る結果となった。以上のことから、基礎自治体単位では世界遺産登録の影響が残っているが、都道府県単位ではその効果がなくなったことがうかがえる。
このほか調査では、世界遺産以外のトピックも紹介。そのうちの一つ、東日本大震災の影響については2014年の宮城県と福島県の観光意欲度が2013年並みの水準にとどまり、回復が鈍化したと指摘。震災以前の水準には回復していない。
また、今治市について、産品を通じたイメージ形成で成功していることを発表。「産品購入意欲度<食品以外>」が、2007年の4.4点(52位)から2014年は18.0点(3位)と4倍以上伸びており、それに伴って認知度は162位(2007年219位)、魅力度は159位(同303位)、観光意欲度は205位(同291位)と上昇した。産品の魅力が、市の魅力に関連していることがうかがえるとしている。
調査は2014年7月1日~7月22日まで、インターネットで20代~60代の男女を対象に実施。有効回収数は3万1433人。調査対象は全国1000の市区町村と47都道府県。