日本旅行の代表取締役社長、丸尾和明氏は2015年の年頭所感を発表した。
2015年は同社の創業110年を迎える節目の年。創業者である南新助氏が当時としては画期的なサービスを自ら発案し、顧客のニーズに応じたサービスと旅行スタイルの提供を徹底したことが同社の基盤となったとしている。現状は追い風がある一方で、さまざまな懸念も認識していると言及、今後も創業時と同じ観点で新たな価値創造を行いながらも変化に迅速に対応し、新しいステージへ踏み出す決意を明らかにした。
発表された年頭所感は以下のとおり。原文のまま掲載する。
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2015年 年頭所感
日本旅行 代表取締役社長
丸尾和明
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
本年は特別な思いで2015年を迎えました。それは、創業110年という節目の年の重みしっかりと認識するとともに、この伝統をふまえながらも、変化に迅速に対応することにより、新しいステージへの第一歩を踏み出すのだという決意です。
当社の創業者である南新助氏は我が国初の団体臨時列車を企画、募集、催行するとともに、お客様が車内で何を欲しておられるのかを考え、湯茶の接待に加えて、沿線各地の名物を車内で間食してお配りしたり、車内にガリ版を持ち込みお客様に日々の情報をお伝えするなど、当時としては画期的なサービスを自ら発案、実行し、大きな反響を呼びました。お客様のニーズに応じたサービスと、新しい旅のスタイルの提供こそが、現在の日本旅行の基盤をつくり上げてきたと言っても過言ではありません。
このように南新助氏は「マーケットイン」を徹底するとともに、スピーディに「新しい価値を創造し続けること」が事業の基幹であり、こうした観点に立って施策を考え、実行していくことがお客様から選択いただき、継続的に発展するために最も大事なことであるとの思いから、これを実践されていたのだろうと考えております。
創業から110年を迎えた本年、私たちは創業者の思いと行動をしっかりと受け継ぎ、加速度的に変化するマーケットの中でビジネスモデル転換を早期に達成し、企業ビジョンの実現をはかるとともに、次なるステージに向かってまいります。
マーケット環境は、日本経済は緩やかな回復基調となることが期待されている一方で、ヨーロッパや新興国経済の動向による景気の下振れリスクも懸念されています。
また、昨年10月以降の大幅な円安は、インバウンドにはプラスであるものの、海外旅行ではマイナス材料であり、さらに個人の消費マインドの減退に繋がりかねないとの指摘もなされています。さらに、マーケットの構造変化は一段と進むとともに、インバウンドの増加等により、仕入環境の悪化が顕著なものとなると見込まれます。
2015年度は一部に追い風もあるものの全体として見ると厳しい状況であり、これに打ち勝ち、未来を切り拓くためには、ビジネスモデル転換への取り組みを一層強化するとともに3月に開業する北陸新幹線や、創業110周年の記念商品の展開など、ビジネスチャンスを的確にとらえ、迅速に行動していくことが必要不可欠です。
様々な課題に取り組み「感動と満足を創出する活力ある企業グループ」の実現に向けて、全力を傾注してまいります。本年も引き続き皆様方のご支援・ご鞭撻を宜しくお願い申し上げます。