日本旅行業協会(JATA)は田川博己会長(JTB代表取締役会長)の新春記者会見を開催し、2015年のマーケット動向とJATAの重点事業などの方針を述べた。
田川氏は、2015年は4000万人交流時代に向けて「これまでのお題目を具体化する時代」であると述べ、20年、30年後に「ターニングポイントだったと言われる年になる」と、節目としての重要性を強調。将来的な“観光立国から観光大国、観光先進国”への発展に向け、全産業の総力をツーリズムに結集するための努力をしていく意欲を示した。
このうち、アウトバウンドは「回復すれば1900万人に達する」とする中国・韓国の問題解決に取り組むとともに、「海外旅行を本格的に2000万人にしていくための施策が必要。これまでのイベント的なテーマでは意味はない」とし、日本人が海外旅行をする意味を踏まえた需要喚起とグランドデザインを含む具体的な政策提言をしていく。
インバウンドでは、東京の注目が再度高まる2016年のオリンピック閉会式までの1年間に、できる限りのインフラをソフト・ハードの両面で整備することが国として重要とし、JATAとしても対応していく。ビザ緩和施策等を背景に数の伸びしろは大きいものの、「品質では大きな問題を抱えている」とし、ツアーオペレーター品質認証制度の全世界的な認知向上に取り組む。また、国内旅行では「東北の復興なくして再生なし」と述べ、引き続き復興に注力する方針を示した。
質疑応答では、メタサーチや国外にサーバーを置いた外資系OTAの進出、シェアリングなど拡大するオンライン取引への対応について、「国際的な商習慣のなかで、日本だけが特別扱いできない時代になっている」と言及。これはオンラインだけの現象ではなく、日本特有の「旅程保証」も同様の例との見解を示したほか、旅行業以外のネット店舗が多数存在することも触れ、「本来は国が出す指針」だと述べた。
田川氏によると、国連世界観光機関(UNWTO)や世界ツーリズム協議会(WTTC)でもこの議論が出ているが、答えは出ていないという。その上で、「最終的な出口は国際標準の策定になるだろう」とし、「日本が主張する内容になるよう、経済界が動くときに来ている」と問題の重要性を強調。JATAとして議論を呼ぶための、問題提起を強める考えを示した。
田川氏が話した国内・海外・訪日旅行のマーケット動向・重点事業等の詳細は後日掲載。