楽天の2015年第1四半期の連結業績(2015年1月1日~3月31日)で、トラベル事業の予約流通総額(予約受付ベースのキャンセル前取扱高、消費税込)は前年比20.9%増の1756億円となった。ゴールデンウィーク期間をはじめ国内旅行やレンタカーが好調に推移したほか、急増するインバウンドの取り込みにも成功。グローバル対応の強化も奏功し、売上収益は前年比7.5%増の91億8000万円、営業利益は4.5%増の34億8100万円となった。 *画像は楽天市場全体のユニーク購入者数(決算資料より)
ただし、楽天市場と楽天トラベルをあわせた売上収益は2.7%減の458億円、営業利益は4.4%減の232億円と減少。消費増税前の駆け込み消費の反動によるもので、楽天市場やダイニング、ビューティなどの国内EC流通総額(トラベル含まず)も1.2%減の5079億円と減少したが、2年平均の成長率では14.2%増となり「順調」と評価。4月の速報値では2割超増加となっており、「力強い回復」としている。
また、楽天市場のユニーク購入者数(メールアドレスベース)は1.8%増の1535万人に増加。流通総額のモバイル比率は47%で、楽天によるとグローバルEC企業の中でも高い数値だといい、モバイルは今後のECの成長を加速するものとしている。楽天会員数は前年比8.5%増の9977万人に増加し、そのうち同期間中に1回以上ログインした会員数は12.0%増の7234万人。楽天サービス内(楽天スーパーポイント獲得可能なサービス)でのクロスユース率は59.6%とほぼ6割近くまで上昇している。
なお、楽天全体の連結業績は、売上収益が14.9%増の1588億1900万円、営業利益は28.7%増の290億4000万円(Non-GAAP営業利益では17.3%増の321億円)、税引き前利益は29.7%増の288億800万円、四半期利益は11.8%減の142億9000万円となった。今期は楽天市場とトラベル以外の「その他インターネットサービス」の赤字(営業損益)が55億円縮小したほか、海外EC流通総額がEbatesの連結により47.8%増の1404億円と大きく伸長した。
▼競争力強化へ、世界の優秀な技術者確保、社員向けSNSも
楽天代表取締役兼会長の三木谷浩史氏は第1四半期のハイライトの一つとして、2015年3月に楽天スタッフの平均TOEICスコアが802.6点となり、目標の800点を超えたことを取り上げた。英語化に力を入れる理由を「楽天グループの競争力の原動力。成功への重要な要因」と説明し、特にインターネット企業におけるエンジニアチームの重要性を指摘。英語化によって世界から優秀な人材を採用できるとし、外国人のエンジニアを増員したという。「多くのインターネット企業がこの部分でつまづいているが、我々はこの課題を乗り越えていく」と強調する。
また競争力の強化のため、英語化のほかにもさまざまな取組みを行なっている。例えば、「コミュニケーションのチャンネルを開いておくことも大切」とし、スタッフを対象としたSNSを開設。成功例やノウハウの共有、他国での動きなどを学ぶ根幹的なプラットフォームとして活用していることも紹介した。
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