レンタカーのネット一括検索(メタサーチ)・予約を手掛ける米国のRentingCarz.com(レンティングカーズドットコム)が、2016年4月から日本市場に進出した。この分野では、世界の大手オンライン旅行会社(OTA)がすでにサービス展開しているが、同社COOのDavid Preciado氏は「2019年までにはリーディングカンパニーになる」と意気込む。そんな同社の事業展開を聞いてきた。 ※写真:David Preciado氏(左)とアクセス・一倉隆氏
同社は2013年に創業、大手レンタカー会社で20年以上の経歴をもつ創業者が、経験と知識を武器に起業したスタートアップ企業だ。契約会社はハーツ、エイビスなど世界の大手企業10数社。サイトは中南米16ヶ国、中東8ヶ国で展開し、これに続く新たな市場として日本と韓国に参入した。
創業から3年目、同社は世界で急ピッチで拡大をしている。Preciado氏は、急拡大の理由を「スタートアップだったことで、身軽に優秀なスタッフが集結し、課題解決を優先したサイト開発ができた」と振り返る。現在、世界を席巻するグーグル社やアップル社も小さな起業家から始まった事業であることを引き合いに、「我々は、これから大きくなる知恵を持っている」と自信だ。これまで提供してきた中南米・中東の各国でも、ユーザーの支持はオンライン上のレンタカー予約の課題を解決することで集めてきたという。
同社が展開するメタサーチは、一般旅行者向け:BtoCの海外レンタカー予約一括検索「Rentingcarz」と旅行会社向け:BtoBの 「Agentcars」。どちらも、主要レンタカー会社が提供するオンライン上の料金を一括検索して検索結果を表示する。その検索結果が、横並びのウインドウで簡単に比較できること、 最低公示料金を保証すること、3ステップのシンプルな操作で予約が完結する動線(UI)の良さを強みとしてきた。
また、ユーザーが買い物かご的に検索結果をメール送信し、受信メールからすぐに予約に進むことができる機能も搭載。各レンタカー会社が付与するポイントの付与も可能だ。こうした機能は、BtoB、BtoCともに活用できる。
大きなポイントとしては、これまでオンライン上のレンタカー予約で課題となっていた料金体系をわかりやすくしたことだ。これまで、各国で異なる保険・税金・サービス料などを予約時と現地貸出時に相違のない、追加料金がかからない表示とした。創業者が従来のレンタカー予約の課題と感じてきた部分だ。
日本語サイトでの取扱い地域は、現在のところハワイ、 グアム、米国本土、 カナダ、 オーストラリア、 ニュージーランド、 ヨーロッパなど。Preciado氏は、レンタカー市場が約1兆円といわれる中、日本市場もまだまだ伸びるとみている。日本で販売代理店を務めるアクセス・一倉隆氏は、同サイトが日本の市場に合わせたカスタマイズを施していることに自信。また、アクセスが提供する日本語のチャットや電話を介したカスタマーサービスで満足度を引き上げていく方針だ。
日本ではBtoBに大きな期待 ーサイト連携で自社開発のようなサービスを
Preciado氏は、日本市場での展開で特にBtoBの「Agentcars」に期待する。これは、日本の旅行会社を直接訪問して得た感覚だという。日本の旅行会社やOTAでも、国内・海外のレンタカー予約を行ってきたが、メタサーチのような一括検索機能を開発する大きな投資をできない企業が多かった。しかし、「Agentcars」のアカウント設定することで、インラインフレーム、 サブドメイン、 ウェブサービスの3つのレベルでサイト連携が可能になる。
専門知識のないスタッフでも簡単に予約ができ、予約確認書なども旅行会社の自社ロゴを添えて印字ができる。見た目には自社開発と変わらないレンタカー予約サービスの展開が可能で、その利用料は従来通りの手数料(成果報酬)だけだという。すでに、旅行会社の導入意向が高い状況だといい「商談がビジネスつながっていて、大きなポテンシャルがある(Preciado氏)」とみている。
世界に日本を発信 -訪日需要に対応で国内パートナーも
同社は、日本人の海外旅行でのレンタカー利用をターゲットとする一方、訪日需要にも応えていく考え。現在のところ、日本企業ではハーツレンタカーと提携関係にあるトヨタレンタカーの1社を掲載しているが、今後は国内レンタカー会社のパートナーの拡充も行う。
Preciado氏は、「日本でも海外と同様に、評価の高いレンタカー企業と組む」と話し、一定のブランド力を持つ企業との連携を考えている。
一方で、すでに日本国内にも、国内レンタカーの一括検索サービスは複数あるが、「(そこでも)リーディングのポジションを作りたい」と語る。同業メタサーチとの連携ではなく、独自展開で、世界・日本の旅行者にリーチを高めていく方針だ。
トラベルボイス編集部 山岡薫