日本銀行大分支店はこのほど、熊本地震による大分県の観光客数と消費額への影響に関する試算結果を発表した。それによると、2016年4月から12月までの県内への累計宿泊数は前年と比べて58万人減少。観光消費額は前年比16.3%減(116億円減)となる試算結果になった。
大分県では地震発生の4月14日以降5月2日までにすでに20万泊分の宿泊キャンセルが発生。このキャンセルよる観光消費額は43億円減に及ぶという。
4月から12月までの宿泊客数累計では、国内客が26万人減の270万人、海外客は32万人減の7万人、合計で58万人減の277万人となっている。試算結果は以下のとおり。
観光消費への影響は、想定される国内外それぞれの宿泊客数と1人1回あたりの観光消費額単価(国内客2万5913円、海外客2万948円)、1人あたり平均泊数(国内客1.20泊、海外客1.12泊)から算出。その結果、消費額合計は前年同期比16.3%減の116億円減少。うち国内客による消費額は56億円減、海外客で60億円減となる試算となった。
報告書では今回の調査結果を受け、例年もっとも宿泊客が集中する夏期に向けた課題と対策を分析。大分県の観光に対して必要以上に慎重にならないよう、正確な被害状況の発信と同時に、「観光旅行が最大の応援」になることを訴えていく必要性にも言及。一方で、過去に国内で発生した大規模地震の事例から、県外や海外からの旅行者数が持ち直すには相当の時間を要することを前提に、従来以上に県内からの誘客を促進する方策が求められるとしている。
今回の調査は、「大分県観光統計調査」など県内の各種統計や観光庁「宿泊旅行統計調査」「共通基準による観光入込客統計」などのほか、2007年に発生した能登半島地震と新潟中越沖地震、2011年の東日本大震災後の各種統計をもとに傾向を分析、試算した。