日本旅行業協会(JATA)と日本観光振興協会(日観振)は、2016年9月に開催する「ツーリズムEXPOジャパン2016」の実施概要を発表した。
展示会は、出展コマ数が前年比4%増の1500超、出展国・地域は140以上、出展者数も1160超(4月末現在)となり、昨年を上回る見込み。会場は東京ビッグサイト東展示棟の全6ホールを使用する。出展国・地域は一昨年の150に近づく見通しで、最大出展の韓国(50コマ)、ビジットUSA(48コマ)のほか、フランスが6年ぶりに出展。来場者数は昨年の17万人を大きく上回る18万5000人を見込む。
今年のポイントは「国際観光フォーラム・シンポジウム」を強化し、「ツーリズムEXPOジャパンフォーラム」と名称変更して開催日数を2日間に増加したこと。全体の会期も2016年9月22日~25日とし、昨年の3日間から4日間に拡大した。
フォーラムについて説明したツーリズムEXPOジャパン実行委員会副委員長の見並陽一氏(日観振理事長)は、アジア及び世界で最大級のツーリズムイベントを目指すツーリズムEXPOジャパンとしてフォーラムの重要性を強調。過去の実施状況を踏まえ、グローバル、アジア、国内、地域の各視点を整理してテーマと登壇者にこだわり、質を向上させた。「イベント名を冠にしたフォーラムとして、より業界の発展に寄与できる内容になっている」と自信を見せた。
実行委員長の田川博己氏(JATA会長)は、ツーリズムEXPOジャパンとして3年目の今年は、事業設計の節目となる「ジャンプイヤー」として海外・国内・訪日の三位一体の完成形を目指すことを表明。
あわせて、リオデジャネイロオリンピックの閉会式のコールで日本への注目が高まった直後の開催であり、2020年東京大会に向けたゴールデンイヤーに開催される意義を強調。今年3月に政府の「明日の日本を支える観光ビジョン」で訪日旅客数の新目標(2020年に4000万人、2030年に6000万人)が設定されたことにも触れ、「観光立国から観光大国へのファーストステージとして取り組んでいきたい」と、ツーリズムEXPOジャパンが担う新たな役割も示した。
2017年以降の開催については、「2年ごとに事業概要を設計し、17年と18年はさらなるジャンプアップを図る期間」と想定。観光産業の裾野が広がるなか、「ツーリズムは観光産業だけのものかという立ち位置でやっていく必要がある」とし、他業界やDMOなど幅広い連携がカギになるとする。
また、「欧米の旅行イベントでは商談会のウェイトが非常に重い」と述べ、「その方向に持っていく努力が必要」とも言及。例えば、「アメリカのパウワウの商談会では、年間1000ドル、2000ドル規模の客室契約などがその場で行なわれている」と述べ、効果測定など商談会の強化に向けた取り組みの必要性を語った。
なお、東京オリンピックに伴い、東京ビッグサイトが使用できない可能性がある2019年以降については、東京以外で実施する可能性にも言及した。
ツーリズムEXPOジャパン2016のポイントは以下の通り。
【ツーリズムEXPOジャパン2016 ポイント】
1.全体テーマ、キービジュアル
- テーマ:旅は変える。人生を。世界を。/Be part of the World.Travel.
- キービジュアル(右写真):二代目 歌川広重作 諸国名所百景「遠州秋葉遠景袋井凧」を原画に、多様な民俗と交流、対話、現地でのアクティビティなど、変わりゆく観光の姿を表現し、「ジャンプ」の年のイメージを強くアピール
2.展示会(9月23日:業界日、9月24日、25日:一般日/両日ともビッグサイト)
- 最大出展は韓国の50コマ、ブランドUSAの48コマ。台湾30コマ、中国20コマ、インドネシア20コマなど、メジャーデスティネーションの大型出展も続く。地域特集はブルガリアやベラルーシ、ジョージアなど、黒海沿岸6か国。
- 国内・訪日の注目は伝統工芸とショッピングツーリズム。また、国内地域では関東・甲信越から100コマ以上、中国地方から90コマ以上が予定されており、広域連携で見せる企画も期待できるという。このほか、「スノースポーツ&リゾート」や「道の駅」などの企画誘致も予定。
- フランスの旅行需要回復、国内被災地の支援展示も【一部新規】
- テロの影響を受けたフランスが、旅行需要回復に向け6年ぶりに出展予定。主催者としてもフランスやヨーロッパ全体の需要回復に向けた取り組みも行なう。国内では東北と九州の震災被災地に対し、観光を通して復興サポートする企画も検討。
- ツーリズムテクノロジーゾーン【新規】
- 音声自動翻訳や多言語アプリ、ソリューションなど、今後のツーリズムの未来を大きく変えるコミュニケーション・テクノロジーを中心とした出展展開を予定。
3.ツーリズムEXPOジャパンフォーラム(9月22日:ベルサール東京日本橋、23日:ビッグサイト)
- テーマ:「輝き続ける日本、そして世界-インバウンド4000万人時代の交流大国を目指して」
- 9月22日は「グローバル観光フォーラム」として、完全招待制で開催。基調講演は国連世界観光機関(UNWTO)事務局長のタレブ・リファイ氏と世界旅行観光協議会(WTTC)理事長のデイビッド・スコースィル氏が登壇。続いて、両名も参加する基調シンポジウムも行なう。会場はベルサール東京日本橋。
- 9月23日の「アジア・ツーリズム・リーダーズ・フォーラム」は、今年から「サステナブル・ツーリズム・ディベロップメント~アジアが世界をリードする~」を3か年テーマとし、今年は「MICE&Sports」をテーマにベストプラクティスの共有と議論を行なう。このほか、海外、国内、訪日のテーマ別シンポジウムや、無料の産学連携フォーラム、業界人向けセミナーなども実施。
4.交流事業(9月22日、9月23日)
- JAPAN NIGHT【一部新規】
- 日本橋を舞台に、市街空間を活用する都市型MICEのユニークエクスペリエンスのコンセプトを踏襲。今年は招待制のレセプションに加え、一般の人が参加できるイベントも企画。江戸伝統芸能の上演や日本文化体験プログラム、老舗店のアンテナショップブースなど。
- WTTCネットワーキングレセプション【新規】
世界の観光産業のトップが集まる「世界旅行観光協議会(WTTC)」のメンバーを招聘したレセプションも開催。世界の旅行・観光関係企業のリーダーと直接交流ができる機会にすると同時に、彼らの目を通してツーリズムEXPOジャパンが世界に発信されることを狙う。
5.ホームページ