デルタ航空の日本戦略とは? トップが語る「成田離れは日本離れでない」、来年はドア付き個室の新ビジネスクラス投入

来年日本に投入される予定の新ビジネスクラスシート。

デルタ航空が成田3路線を運休するというニュースは、日本の旅行・航空関係者に驚きをもって受け止められた。デルタ航空が日本を見捨てたという一部報道や憶測にも発展。これに対して、同社日本支社長、森本大氏は「成田離れは日本離れでない、羽田に行くだけ」との見解を示す。このほど開催された記者発表会で、森本氏が同社の日本戦略を語った。来年にはドア付き個室の新ビジネスクラスが搭載されるエアバスA350-900型機を日本路線に投入する計画も明らかにした。

デルタ航空は、2016年10月30日に羽田/ミネアポリス線を開設、深夜早朝枠で運航中のロサンゼルス線を昼間枠に移行する。それに合わせて、成田/ニューヨーク線、バンコク線、関空線(乗継用)の成田空港発着3路線を順次運休する。

3路線の運休後の成田発着便では、シアトル、ポートランド、デトロイト、アトランタの米国本土線、上海、台北、シンガポール、マニラのアジア路線を運航。ホノルル、グアム、サイパン、パラオの各リゾート路線も継続する。成田の米国線については、「圧倒的なシェアを持っている空港のため、成田でも十分競争力がある」との考え。アジア路線は乗継需要、リゾート路線は日本人向けレジャー路線との位置づけだ。

一方で、将来的には羽田発着路線を増やしていきたい考え。2020年までに羽田の発着枠が増える見通しで、その際には「2つ3つ、もう少しいただけたら」と話す。そして、日米路線の旅客数は一定のボリュームになるため、「羽田が多くなれば、成田は減らさざるを得ない」とした。

こうしたことから、森本氏は「一部メディアで報道されたように、(成田線を運休するからといって)日本を離れてしまうわけではない」ことを強調。羽田線が成田線のようなアジア接続の路線とは異なり、日米2国で販売することから「路線数は減少するが、日本で販売する座席数はほぼ変わらない」と話す。成田・羽田ともに以遠接続や都心からのアクセスなどの特徴を生かしながら、今後も日本でネットワークを構築していく方針だ。

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日本路線でサービスを強化、ミネアポリス線は出張に期待

森本氏は、羽田2路線の就航地が決まった背景についても言及した。ロサンゼルスとミネアポリスの空港は、同社にとってハブ空港。「得意なネットワークが構築できるロサンゼルス、米国の中西部・南部・カナダなどにつなぎやすいミネアポリスの2路線を優先的に就航することになった」のだという。日本では、ミネアポリスの認知が低いものの「ハブとしての機能は非常に高い」として以遠需要の取込みに注力する方針だ。

日本発のミネアポリス線では半分以上の旅客が乗継ぎとなるとみており、全米各都市のほか、特に日系企業が多く進出するメキシコに期待する。デルタ航空は、アエロメヒコ航空の親会社への出資比率を49%まで引き上げる計画で、米国/メキシコ間にはオープンスカイ協定締結が見込まれている。さらなるネットワーク拡充が可能になるため、旺盛なビジネス需要を取り込んでいきたい考え。

こうしたことから、同社は日本向けのサービスを強化する。法人営業スタッフの増強、機内各種サービスの拡充、クルーに文化トレーニング、顧客プログラム強化などを実施。さらに、森本氏はドア付き個室の新ビジネスクラスを搭載したエアバスA350-900型機を、早期に日本路線へ投入する予定も明らかにした。

ミネアポリス空港イメージ。日本語表示のサインも。

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