ヒルトンが日本事業を加速、国内でデジタルキー利用を可能に、施設数の拡大や客室改装など投資を積極化

世界的なホテルチェーン、ヒルトン・グループが日本での展開に積極姿勢を見せている。国内でのホテル数を拡大させる開発事業の加速(下段記事)に加え、2017年末には日本国内で初となるスマホによるデジタルキーの利用を可能にする。ヒルトン・ワールドワイド日本・韓国・ミクロネシア地区運営最高責任者のティモシー・ソーパー氏が、記者ミーティングで明らかにした。

ヒルトンのデジタルキーは会員向けアプリで展開するもの。日本国外では、すでに約500施設で利用可能となっている。スマホでデジタルチェックインを行うと、滞在の24時間前からチェックイン作業が可能になり、その後はアプリにデジタルキーが送信される(プッシュ通知あり)。そのデジタルキーを表示したスマホ画面を客室ドアにかざせば、鍵が開くという流れだ。

現在の法制度のなかでは、日本国内のホテルはチェックイン時にフロントに立ち寄る必要があるが(パスポート・身分証明の提示など)、チェックイン時間は大きく短縮される。

img_5436ソーパー氏は、デジタルチェックインでは宿泊前日から客室を宿泊者自身で選んだり、ホテルに対するリクエストなどを事前に送信できる機能などの利便性の高さを強調。さらに、デジタルキーの安全性はテストを繰り返し確認済みで「滞在体験を快適にするためのシームレスな動線を実現できる」と自信を見せた。時代に沿ったテクノロジーを活用することで、宿泊者の満足度を上げていく考えだ。

まず、ヒルトン東京(新宿区)でスタートし、小田原、東京ベイ(舞浜)などに順次拡大、翌年後半にかけて全国で展開していく計画だという。


日本国内での施設拡大に意欲、リブランドを中心に

同社は、日本での施設数拡大に力を入れる。現在、日本では世界で展開する13ブランドのうち、ヒルトン、ダブルツリー、コンラッドの3ブランドで13施設を展開。ソーパー氏は、「今までなかった都市に、新たな旗を作っていく」と話し、手法としては既存の施設をリブランドすることで施設数拡大を目指す方針を明らかにした。ディベロッパーとの協業がメインとなっていく見込だといい、「マネジメントの質を一新することで新たな価値を与えることが強み」であると強調した。

同社が日本で積極的に展開を進める背景は、日本政府による観光産業の後押しとホテル需要の高さにあるという。エリア毎にシーズンやシェアは大きく異なるものの、拡大するインバウンドとともに活発な国内需要の双方を取り込む商機があるとみている。同社では、近年1年で約1.5軒の施設数拡大が展開されているところだが、ソーパー氏は「その速度を下回ることはない。加速ばかりだろう。」と意気込んだ。

2016年は、沖縄県・那覇で「ダブルツリー」、東京・お台場で「ヒルトン」としてホテルをリブランドオープン。来年には、コンラッド大阪の開業を控えている。あわせて、既存施設では改装をすすめているところ。大阪と名古屋で全客室改装、小田原にはファミリー向け和洋室、ヒルトン東京ベイには家族向け客室などを新設するなど、立地や客層にあわせたリニューアルを実施、。ソーパー氏は、「こうした日本への投資を続けていく」と話し、今後も日本市場で積極的な展開を図る方針を示した。


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