JTB代表取締役社長の髙橋広行氏が、2017年の年頭所感を発表した。
髙橋代表は観光業をとりまく2017年の環境について、国内外とも大きなイベントはないものの、昨年同様に市場拡大傾向が続くと予測。特に訪日外国人市場は「モノ消費からコト消費へ」変化する一方、個人需要や海外旅行においてはFIT化・ウェブ化へとマーケットが成長するとしている。そのようななか、同社は方針として「環境変化に対する対応策の強化」を提示。同時に「2020東京オリンピック・パラリンピック」開催に向け、スポーツツーリズム、ユニバーサルツーリズムの取り組みをより強化していく意欲を示している。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
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2017年 年頭所感
新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年の観光業を取りまく環境は、国内においては熊本地震、海外においてはヨーロッパにおける政情不安等があった一方、リオオリンピック・パラリンピック、伊勢志摩サミット、北海道新幹線開業などの話題もあり、全体的な市場は拡大しました。また、訪日外国人数も着実に増加し、約400万人増の2,400万人程度になったと推測されます。
2017年における観光業をとりまく環境は、国内・海外ともに大きなイベントはないものの全体的には昨年と同様の状況が続くとみられます。原油高の影響やアメリカ新大統領就任後の経済政策の方向性など不確定要素もありますが、日銀の月例経済報告では「このところ弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」ことや為替の安定などによる企業景況感の改善があります。海外旅行においても円安傾向があるものの上記の要因等による堅調な旅行意欲に支えられ、アジアなどの近距離方面が拡大すると考えられます。また、訪日外国人は今年も確実に増加すると想定されると同時に、その消費動向が「モノ」から「コト」へと変化しつつあり、観光業界にとって非常に大きなマーケットになっていくと期待できます。一方で、個人需要、特に海外旅行においてはFIT(※)化・Web化が急速に進むなど市場が大きく変化しつつあり、旅行会社にとってはその迅速な対応が求められています。
このような状況を背景に、当社では環境変化に対する対応策を強化していきます。海外旅行のFIT化、Web化については、仕入と造成の一体化を目指す海外旅行改革を実施し、仕入、企画、造成、販売を同時に強化します。「地方創生」によって後押しされている国内旅行では、九州・東北への復興支援を継続しつつ、全国の地域活性化と市場の拡大を図ります。またグローバル事業においては人財を含めた投資を促進、グローバルコンペティターへの対策を強化するなど「世界発・世界着。」の事業拡大を推進していきます。訪日旅行においては、引き続き訪日外国人のお客様に向けWeb販売の強化、地域の魅力を堪能する商品の造成、日本到着後のタッチポイントの増設など、より一層需要を獲得していきます。また、「2020東京オリンピック・パラリンピック」の成功に向け、スポーツツーリズム、ユニバーサルツーリズムの取り組みを更に一層強化してまいります。
当社は、ブランドスローガン「感動のそばに、いつも。」(英語表記 “Perfect moments, always”)のとおり、お客様との一瞬一秒の瞬間を大切にし当社グループの経営理念「地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する。」を実践するための努力を続けてまいります。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
JTB 代表取締役社長
髙橋広行
※Foreign Independent Tourの略。団体やパッケージを利用することなく個人で海外旅行にいくこと