西武ホールディングスによると、同グループのホテル事業であるプリンスホテルの2017年1月~8月の訪日外国人宿泊客数が、前年比4.7%増の約75万8000人となった。これに対し、同期間のインバウンド売上(室料収入)は13.2%増と、2ケタ増に及んだ。
西武グループでは訪日外国人観光の「モノからコト」へのシフトを踏まえ、体験型のコト消費に焦点を当てた取り組みを強化している。例えば、「グランドプリンスホテル高輪」では、日本庭園内でのお茶のお点前や、専用ラウンジでの利き酒体験、風呂敷包み体験などを無料で実施。同期間の外国人比率が以前より6ポイント増の約35%に高まった。
また、他のプリンスホテルより外国人比率が高い(同期間中は約7割)「ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町」では、レストランでの日本酒が欧米人客に好まれ、販売額が2017年4月~8月までで目標の17%増と好調に推移しているという。
地方へ拡大する訪日客
プリンスホテル以外でも、西武グループ全体としてコト消費を推進。例えば、伊豆箱根鉄道が運営する「箱根関所 旅物語館」で7月から、着物や浴衣の着付け体験サービスを開始。1人当たり3000円で、利用者の7割が外国人客だ。
また、地方への訪日客の増加を受け、交通手段を拡充。多摩川線を除く西武鉄道全線や伊豆箱根鉄道・バス、近江鉄道で、訪日外国人客限定の1日券または2日券パスを販売した。このうち、伊豆箱根バスの修善寺駅/温泉場間の外国人利用客は1~8月で310%増、小田原/箱根間の利用は26.7%増と前年を大幅に上回る推移となっている。西武ホールディングスによると、特に伊豆箱根鉄道の事業エリアは東京/京都間のゴールデンルートに位置することから、利用率が好調に推移しているという。
さらに9月1日からは西武鉄道の1日券、2日券について、世界各地のオプショナルツアー予約サイト「ベルトラ」でも販売。タビマエからのアプローチも開始した。このほか、多言語パンフレットの配布やメディアFAMツアーの実施など、今後もインバウンドの受入体制を整備し、誘客を推進していく方針だ。