感謝祭を迎えた米国では、セールの売上動向が注視されている。昨年より景況感が上向きになるなか、小売店はどこも売上アップを期待しているが、ネット販売のアマゾン台頭に伴って競争も激化している。AP通信によると、売上を伸ばそうと、競合他社より一足早く木曜午後に開店したり、普段は扱っていない商品を期間限定で拡充する動きなどが目立つという。
ベイン社の市場シェア分析では、今年の売上増加分の半分はアマゾンがもっていくと予想。NPDグループが9月に実施した市場調査でも、バーゲン狙いの人が真っ先にのぞく場所はアマゾンと予測。全般的に売上が伸びるものの、最も恩恵を受けるのはアマゾンとなり、小売店間での市場シェア争いは劇化するとの見方だ。
米国の失業率は今年、過去17年間で最低レベルの4.1%となり、消費者の購買意欲は高い。全米小売業連盟(NRF)では、11~12月の売上について、少なくとも昨年と同じ前年比3.6%増は達成できると予測。オンラインなど、実店舗以外での売上については、11~15%増と期待している。
かのアマゾンでは、プライム会員向け特典を充実させるなど、ここ2年ほどは顧客の囲い込みに注力しており、“お得意様”向けの取扱い商品のカテゴリー拡大にも積極的だ。
一方、今年は子供向け用品のジンボリーやトイザラスが経営破綻したほか、小売り店舗の閉鎖が相次ぐなど、供給側の縮小もあった。こうした市場環境の変化が、各社が従来とは異なる品揃えに力を入れる動きにもつながっているようだ。
米国の場合、感謝祭の週末商戦は、その年の年末商戦の行方を予測するための指標となっている。NRF調査によると米国民の69%、1億6400万人が、祝日となる木曜から週明け月曜のサイバーマンデーまでの5日間、どこかのタイミングで買い物するつもりと回答。最も賑わうと予想されているのはブラック・フライデーで、1億1500万人が買い物を予定している。