クリスマス前に繰り広げられる世界のオンライン商戦がスタートした。中国で「独身の日」と呼ばれる11月11日は、今やネット商戦において、世界最大のセールをおこなうイベント日。今年もオムツからダイヤモンドまであらゆる商品が販売され、オンライン売上は数十億ドルに達した。
中国eコマース最大手、アリババ・グループが2017年11月12日、前日24時間の売上について、同社プラットフォーム上で営業するリテーラー数千社の合計で1683億元(253億ドル、約2兆7830億円)となり過去最高記録を更新したと発表。前年実績の1207億元に比べ、39%増だった。
一方、中国におけるアリババのライバル大手リテーラーであるJD.comは、独身の日の売上は明らかにしていないが、11月1日から11日までの11日間累計の売上は1270億元(190億ドル、約2兆900億円)。前日金曜の深夜に始まる「独身の日」商戦では、ダイヤモンド、チリ産冷凍サーモン、車のタイヤ、オムツ、ビール、靴、ハンドバッグ、家電などが同社の流通センターからトラックで運び出され、中国各地へ向かった。
中国はすでに世界最大のeコマース市場で、全消費額に占めるオンライン・ショッピング比率は毎年拡大している。ボストン・コンサルティング・グループ予測によると、オンライン消費は、年率20%ずつ成長し、2020年には1兆6000億ドルに達する見込み。これに対し、オフラインでの小売り販売は年率6%増と推計している。
「独身の日」は、1990年代、中国の大学生の間でバレンタイン・デーの同国バージョンとして広まり、ロマンスの相手がいない独身者のための日となった。機会工学系の企業に勤める30歳女性(Zhang Jingjing氏)は、アリババのリテール用プラットフォーム「Tmall」で独身の日の買い物リストを準備。料金の動きをチェックし、割引になるのを待ってクリック、手に入れた。「ショッピング・カートが独身の日に空っぽになるのは、めずらしくありません。ずっとウォッチしていた商品で、もともとの値段もよく知っていますから」と話す。
こうした購買の盛り上がりは、中国共産党が目指す消費者ベースの経済成長に合致しており、貿易・投資への偏重からの脱却にもつながる。政府統計によると、中国のネット利用者人口は、昨年比6%増の7億3100万人にのぼるという。
この後、米国では、11月に感謝祭のオンライン商戦が盛り上がる。昨年、全米の消費者が感謝祭およびブラック・フライデーにネットで買い物した総額は50億ドル以上。続く週明け「サイバー・マンデー」のオンライン消費額は33億9000万ドルで、米国では一日当たりのオンライン売上最高額となっている(アドビ社調べ)。日本でもEC各社が、こうしたクリスマス商戦前のイベント期間を開始している。