JTB代表取締役社長の髙橋広行氏が、2018年の年頭所感を発表した。
髙橋代表は、国内景気の回復基調が下支えし、2018年も観光業は市場全体として堅調に推移するものと予測。各種スポーツイベントなども控えており、今年も海外旅行の復調や国内旅行・訪日旅行の継続的な成長が見込まれるとする。一方、同社は4月から大規模経営改革に伴う事業ドメインの変更などを予定。その取り組みを通じ、デジタルとヒューマンタッチをかけあわせたソリューションを提供し、新たな顧客価値を創造していきたいとしている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
2018年 年頭所感
新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、経済環境として緩やかながら景気回復基調が続き、現在の景気回復局面は「いざなぎ景気」を超え戦後2番目の長さになりました。企業収益も改善し、個人消費も持ち直しの動きが見られてきています。観光業としては、台風や長雨等の天候不順、海外においてはテロや朝鮮半島など国際情勢の不安などの逆風があったものの、海外旅行はヨーロッパの復調もあり全体として回復し、国内旅行も前年地震の影響を受けた九州が回復に向かう等、市場全体としては堅調に推移しました。特に訪日旅行は引き続き好調で、訪日外国人数は11月初旬にして前年実績を上回り、年間では約400万人増の2800万人を超えたと推測されます。
2018年の観光業をとりまく環境は、2月に平昌2018冬季オリンピック・パラリンピック、6月にはロシアワールドカップサッカーがあり、これら世界的なスポーツイベントは、海外旅行の需要を喚起するだけでなく、この先迎えるラグビーワールドカップ2019日本大会、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会への機運の醸成にも繋がります。昨年回復の兆しを見せた海外旅行は更に回復すると推察され、国内旅行も「東京ディズニーリゾート®」の35周年、「レゴランド®・ジャパン」ホテルオープン、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」隣接地の新ホテル開業等テーマパーク系の話題もあり、また明治維新から150年の年でもあります。国内旅行も昨年同様堅調に推移すると考えております。6月には住宅宿泊事業法も施行され、民泊が合法的に新しい需要を創出し、地域の活性化に繋がることが期待されます。訪日旅行は、地方分散と体験型の「コト」消費が加速する1年になり、更に拡大し年間3000万人を超えると推測します。地域の魅力がさまざまな形で発掘され発信され、クローズアップすることは訪日旅行だけでなく国内旅行の活性化にも繋がります。
当社は、4月1日に『新たな価値提供に向けた経営改革』を実施します。今回の改革の先に目指す姿を、劇的な進化を遂げる意思を込めて「第三の創業」と位置付けており、それに先んじて1月1日付で社名を株式会社JTBに変更しました。改革では「個人」「法人」というお客様を軸とした事業単位の再編により、お客様ニーズに迅速に対応しうる組織を構築すると共に、スピーディーな経営資源の最適配置と意思決定を可能とする体制を実現します。
また、事業ドメインも4月にこれまでの「交流文化事業」から「交流創造事業~JTBならではのソリューション(商品・サービス・情報および仕組み)の提供により、地球を舞台にあらゆる交流を創造し、お客様の感動・共感を呼び起こすこと。」へ変更します。デジタルとヒューマンタッチをかけあわせたソリューションの提供により、お客様の期待を超える価値を生み出し、お客様にとっての成果をお約束することをグループの経営ビジョンとして追求します。
具体的な将来の事業領域として、「『国としての課題・社会としての課題』の解決」にまで視野を拡げ、「人の生活の質の向上」「持続的な地域社会の発展」「企業の社会的価値の向上」の3つのテーマの中で、成果をお約束できるレベルの新たなソリューションビジネスの創造に、果敢に挑戦していきます。
本年も何卒よろしくお願い申し上げます。
株式会社JTB
代表取締役社長 髙橋広行※髙橋氏の「髙」ははしごだか。