文化庁はこのほど、「文化財の観光活用に向けたVR等の制作・運用ガイドライン」を公開した。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、MR(複合現実)といった最新技術を用いた体験型文化財の公開活用を推進するため、自治体向けに提供するもの。
ガイドラインでは、関連する専門用語の解説に加え、コンテンツ制作にあたって企画段階、制作段階、運用・保守段階で実施すべきことを記載。加えて、VR・ARに関する技術の変遷や製品事例を解説。分野別の活用事例として、観光分野ではホテルの「下見」をおこなうVR技術、観光ガイドとスマートフォンアプリを組み合わせて利用できるAR技術を抽出している。
具体的な制作段階では、まず、文化財の視覚的な観点の価値を整理する必要性に言及。例えば、大きさや外観、閲覧性などの項目で整理したうえで、観光資源としてどのように提供するか、また、正確性とインパクトをどのように表現するかを明確にする、といった検討要項を示した。
そのほか、著作権管理や時代考証の扱い、自治体を中心とする体制作りの進め方も記載。公募や採択・契約に関する手続きに加え、費用や制作時の進捗管理、運用にあたっての注意事項なども提示している。
なお、先行事例としては、堺市・仁徳天皇陵古墳「仁徳天皇陵古墳 VR ツアー」、堺市・百舌鳥・古市古墳群「百舌鳥古墳群シアター」、佐賀県・三重津海軍所跡「みえつ SCOPE」など5種類のケースを抜粋して解説している。
ガイドライン全文は以下から参照できる。