ブッキング・ホールディングスは2018年10月29日、シンガポール拠点の配車・生活サービスプラットフォーム企業「グラブ(Grab)」との間で、戦略的パートナーシップを提携すると発表。相互のモバイルアプリ経由での予約サービス提供に加え、ブッキング側がグラブに2億ドル(約220億円)を出資することで合意した。
これにより、ブッキング傘下OTAのアプリ上で、グラブの配車サービスが利用できるようになる一方、グラブのアプリでも、ブッキング・ドットコムおよびアゴダで世界各地の宿泊施設の予約が可能になる。またグラブのユーザーは、ブッキングでの予約支払いにデジタルウォレット「GrabPay(グラブペイ)」が利用できる。
グラブは、主力の配車サービスに加え、食事デリバリー、宅急便、デジタル決済など、生活に必要な幅広い分野で利用できるアプリとして、東南アジアで急成長している。現在、シンガポール、インドネシア、フィリピン、マレーシア、タイ、ベトナム、ミャンマー、カンボジアの8か国235都市に拠点があり、同プラットフォームを利用して営業する小規模ビジネスは800万社ほど。
グラブのミン・マア社長は「ブッキングHDとの提携により、グラブのアプリで利用可能なサービスの選択肢が拡大することは喜ばしい。東南アジア市場のオンライン旅行マーケットは2025年までに3倍に成長するとの予測もあり、旅行と交通サービスのシナジー効果は計り知れない。またブッキングからの投資は、当社の戦略方針に対する支持でもあり、引き続き、様々な分野でO2O(オンラインからオフライン)サービスを拡大していく」とコメントしている。
ブッキングでは、グラブについて、「ここ数年で、東南アジア市場を席捲したO2Oプラットフォーム。競争が厳しい分野にありながら、トップを走っているリーダー」(トッド・ヘンリッヒ上級副社長、コーポレート開発担当)と高く評価し、提携と投資を決めた。グラブでは、今年末までに30憶ドル以上の資金調達を目指している。