タビナカ体験サービスの次の主戦場は「アジア」、その理由を専門メディア「Arival(アライバル)」が分析

旅行先でのツアーやアクティビティなど、タビナカ業界に特化したイベントや調査などを展開してきた米国企業「Arival(アライバル)」が2019年6月、タイ・バンコクで国際イベントを開催する。近ごろ、タビナカ体験ツアーやアクティビティ分野で最大級の開発が進められているのは間違いなく「アジア」だ。

同社が、このイベントをアジアで開催するに至った理由は7つ。そこには、旅行・観光業界ビジネスへの示唆がふんだんに含まれている。以下に同社が考えるアジアのタビナカ市場への視点を紹介する。

※この記事は、Arival(アライバル)社が運営するニュースメディアに掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

 

1. 旅行者

アジアには、その他どの地域よりも多くの旅行者がいる。そしてその数は、北米やヨーロッパよりもかなりの速さで成長している。彼らの旅行先のほとんどはアジア内。つまり、大量の旅行者が生み出されていることになる。

2. 投資

例を1つだけ挙げよう。シンガポール随一の観光名所の1つ、リゾート・ワールド・セントーサは、数十億ドルの拡大事業を発表したばかりだ。2025年までに、段階的に着工する予定となっている。ここでは新しいアトラクション、ツアー、体験、そしてアクティビティ事業が同業界に投資しており、増加中の旅行者需要に応えるべく地域全体へ拡大中だ。

3. 若年層旅行者(従来と異なる行動パターンを持つ)

一部の市場を除き、アジア全域の旅行者人口は明らかに若年層へと偏っている。各地のツアーオペレーターや旅行代理店と当社が交わしているやり取りの全てにおいて、そのトレンドは明白だ。アジアでの旅行市場を何十年も支えてきた、従来型の団体向けパッケージ旅行は横ばい、または減少している。成長が見られるのは、個人向けの、自分で計画できるオンライン予約を使った旅行だ。これは、アジアで多くの若者がスタートアップとして登場していることとも無縁ではないのかもしれない。

4. ベンチャーキャピタル

アジアは最大かつ最も急成長を遂げている旅行市場だ。Klook(クルック)は、昨年ラウンドの2億ドルに続いて再度の資金調達を行なったばかり。合計で5億ドルを超える資金を確保し、業界内で最高額の資金を得たスタートアップとなった。シリコンバレーではなく、香港からの優れたスタートアップの登場。これは未来の予兆と言える。似たような事例は今後多数、旅行業界の枠を超えて見られるだろう。

5. スタートアップ

当初、Klookに寄せられた関心の多くはその巨額資金調達ラウンドに対するものだった。しかしスタートアップ企業の活況と資金調達は、いまやKlook以外でも相次いで起こっている。注目の企業は次のとおり。

  •  KKDay(ケイケイデイ、台湾)、HISから1050ドルの資金調達を実施、LINEやアリババなどからの調達も。
  •  MyRealTrip(マイリアルトリップ、韓国)は合計2600万ドルの資金調達を実施。
  •  GlobalTix(グローバル・ティックス、シンガポール)は昨年900万ドルを調達。
  •  Guiddoo(ガイドゥ、インド)は、昨年後半および今年前半に資金調達。
  •  LokaLocal(ロカ・ローカル、マレーシア)は、資金調達を完了したばかり。

そして今年、さらに多くのスタートアップがこれに続くことは間違いない。

6. テクノロジー

過去10年間に渡り、北米やヨーロッパのツアーオペレーターに利用しやすいテクノロジーを届けるために、何十という予約システム企業が創設されてきた。さまざまな土地の現地企業がサービスを用意する一方で、彼らはいま、その狙いをアジアに定め始めている。シンガポールに拠点を置くB2B代理店のBeMyGuest(ビーマイゲスト)は、同地域内のオペレーターに向けて設計されたオンライン予約プラットフォーム、Xploreを2018年10月に公開した。技術力の高さが、アジアが成功する最大の理由を導くのかもしれない。

7. 証拠

さて、出口戦略(エグジット)はどうするか。多額の資金を調達した全てのスタートアップにとって、エグジットは大きな問題の一つとなっている。アジアは、タビナカ体験業界に属する旅行代理店として、IPOで初めて成功を収めた企業「Veltra(ベルトラ)」を創出した地域だ。ベルトラは日本を拠点とし、ツアーやアクティビティ、アトラクションを取り扱うオンライン旅行代理店(OTA)だ。ネットで業績を検索してみれば、同社が高収益を誇り、IPO以来その株価は著しい成長を見せていることがすぐわかる。

我々はさまざまな角度に目を向けており、他社もこのタビナカ分野に注目を寄せている。インドネシアの大手OTAであるTraveloka(トラベロカ)、インド最大のOTAであるMakeMyTrip(メイクマイトリップ)も、同分野に参入してきた。エアアジア設立者は、自分の航空会社がいつの日かKlookより多くのアクティビティを販売するだろうと考えているという。そしてここでは、中国という市場や中国OTA「Ctrip(シートリップ)」の存在に触れてもいない。中国を含めて議論すれば、タビナカ市場としてのアジアの規模がさらに理解できるはずだ。そして、業界の「重心」が西から東へ移ろうとしている様子が共有できるだろう。

2019年6月、Arivalではこのようなテーマをもってバンコクでイベントを開催する。興味がある方はぜひ、ご一緒にいかがだろうか。

※この記事は、Arival(アライバル)社が運営する同名のニュースメディアに掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。

※オリジナル記事:7 Reasons Why Asia Is the Next Big Battleground for Tours & Activities


著者:ダグラス・クインビー(Douglas Quinby)

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