民泊新法施行から1年。みずほ総合研究所のレポートによると、規制で市場規模は縮小したものの、一部地域では民泊が新たな旅行需要の受け皿として存在感を示していることがわかった。同研究所は「宿泊施設の少ない地域では、民泊が貴重な存在として稼働している」と分析している。
2018年6月の住宅宿泊事業法施行で登録義務化や年間営業許可数180日以内などとする規制が導入されたことにより、採算重視だったオーナー中心に営業継続が困難になったとみられ、物件数は施行前に比べて大幅に減ったといわれている。
新法施行後も民泊の外国人シェアは70%超とホテルや旅館など他施設より高いが、2019年4~5月の外国人延べ宿泊者数は約70万人程度でわずか3.5%にとどまっている(観光庁調べ)。同研究所によると、2016年時は外国人の約15%が民泊を利用していたと推計され、市場が大きく縮小したことがうかがえる。ただ、180日の営業日規制などを考慮すると稼働率は高く、外国人中心に根強い需要がある。
民泊物件は三大都市圏、地方の中核都市を中心に立地。たとえば、北海道は札幌中心部に集積しているが、客層の違いからホテルとの競合は限定的だという。一方で、札幌市以外では江別市のように民泊シェアが20%を超える地域もあり、もともと宿泊施設の少ない自治体では、民泊が新たな旅行需要の受け皿になっていることも推察できる。
同研究所は「ホテルなどが主に1泊2日型の宿泊形態である一方、民泊は長期滞在型が主流で、インバウンド関連消費額に底上げにつながることが期待される。地域活性化につながる民泊をもっと広げる取り組みが課題」と指摘している。
[みずほインサイト]新法施行から一年後の民泊市場 規制で市場は縮小も、都心や一部地方圏で存在感