カンタス航空は2019年10月19日、超長距離のフライト「Project Sunrise」の第一弾として、ニューヨーク発シドニー行き直行便の調査飛行を実施した。この調査飛行は、超長距離フライトにおける健康状態の向上、時差ぼけの最小限化、乗務員の休憩を含めた勤務パターンの設定を目的として、 超長距離フライトが乗客と乗務員の健康に及ぼす影響を科学的に研究するもの。
搭乗者49名を乗せたB787-9は、ニューヨークJFK空港を離陸し、19時間 16 分のフライトを経てシドニーに到着。初のニューヨーク/オーストラリア間の直行便飛行を行った。
調査内容は、脳波メラトニン量レベルの変化覚醒度のモニタリングからエクササイズや機内の照明、機内食による時差ぼけの軽減テストにまで多岐に渡った。
カンタスグループのアラン・ジョイスCEOは、「今回の調査飛行は、航空業界にとって非常に意義深いもの。地球の片側から反対側への移動時間短縮が可能であることを証明した。超長距離フライトにはまだいくつかの課題があるが、テクノロジーがそれを解決してくれるだろう」とコメントした。
通常の夜間飛行では、ディナーを提供した後に機内照明を落とすが、午後9時にニューヨークを出発した今回の調査飛行では、ランチとして機内食を提供し、シドニーの日中時間と合わせるために最初の6時間は照明をつけたままにした。
今回の調査飛行は、現在運航しているニューヨーク発ロサンゼルス経由シドニー行きの便(QF12)よりも3時間も後に出発したが、シドニーに到着したのはその定期便の定刻到着よりも数分早かったことから、ジョイスCEOは「ノンストップによって、旅行時間をかなり短縮できることができる」と自信を示した。
今回の調査飛行は、当初予定していたB787-9新造機のシアトルからのデリバリーフライトの飛行ルートを変更して行われたもの。このB787-9は、11月にロンドン/シドニー間、12月にニューヨーク/シドニー間の2回の調査飛行を行い、すべての調査飛行が完了した後、定期運航を開始する予定だ。