デルタ航空のエド・バスティアンCEOは、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大による同航空への影響について、声明を発表した。そのなかで、アメリカ政府による旅行規制や入国制限の措置が実施されたことで、3月の収益は前年比で約20億ドル(約2194億円)減少し、4月にはさらに増えることを明らかにした。
同航空は、旅客需要が急激に落ち込んでいることから、需要が回復するまで計画していたうち70%の便の運航を取りやめる。国際線については、今後2、3週間の間、80%以上を運休する。
バスティアンCEOは、この危機に際して、航空業界に対しての支援について、ホワイトハウスと米議会と建設的な意見交換を行っていることを明らかにしたうえで、現時点では、キャッシュの保全が、同航空の将来を守り、反転攻勢に向かううえで、財務上の最優先事項だとしている。
同航空は、状況が明確になるまで、新型機の調達を含めて、すべての設備投資を延期する。また、第2四半期だけで40億ドル以上のキャッシュを切り詰めていく。そのための取り組みとしては、6月30日まですべての役員の給与を50%、マネージング・ディレクターの給与を25%カットする。バスティアンCEO自身は、今後6ヶ月間、給与を100%カット。取締役会も、今後6か月間、報酬を差し控える。
さらに、必要に応じてアトランタおよびその他の場所の空港施設を一時的に統合し、需要が回復するまでデルタスカイクラブの大部分を閉鎖。機材については、少なくとも半分の機材、約600機の運用をやめ、実際に稼働する機材の数を減らすとともに、MD-88/90やボーイング767など古い機体の退役を加速させる。不要な整備も削減。必要な場合を除いて、大部分の契約業者への支出も削減していく。
バスティアンCEOは声明のなかで、社員に向けて、「誰もが雇用と給与の心配しているが、この不確実な危機を考えると、まだ決定を下す段階ではない。この予測不可能な環境では、その選択肢を排除することはではないが、社員の雇用や給与については、デルタ航空の将来にとって必要だと判断した場合のみ、一番最後に決めることだ」とコメント。
そのうえで、「我々はこの危機を乗り越える。これは一時的な健康危機であり、まもなく終わりが見えてくる。我々の世界に不可欠なサービスとしての旅行の力を決して過小評価してはならない。デルタ航空が過去10年間にわたって実施してきたビジネスモデルの変革は、最終的には回復するのに役立つ」と将来に向けたメッセージを送った。
*円換算は1ドル109円でトラベルボイス編集部が算出。