世界観光機関(UNWTO)が2021年7月21日に発表した統計データによると、2021年1~5月累計の世界の海外旅行者数(1泊以上の海外旅行者を到着ベースで集計)は、コロナ禍以前の2019年同期比で85%減、前年比では65%減となった。
同5か月間の世界の海外旅行者数は、前年比で1億4700万人減、2019年比では4億6000万人減。
地域別では、パンデミック以前(2019年)と比べて、マイナス幅が最も大きかったのはアジア太平洋で95%減。これに対し、最も小さかったのは南北アメリカで72%減だった。
さらに南北アメリカ内の各地域で、最もマイナス幅が小さかったのはカリブ海諸国で同60%減。米国からの旅行者が、カリブ海および中米、メキシコに向かっていることが要因としている。
また、1~5月の推移を見ると、世界の海外旅行者数が4月は2019年比86%減だったのに対し、5月は同82%減となり、数ポイントながらも回復傾向を示したと指摘。地域別では、西ヨーロッパ、南ヨーロッパおよび地中海沿岸、中南米で、こうした改善が見られた。
UNWTOでは、一部の国で行動制限が緩和されたことが、旅行意欲の回復を後押ししたとする一方で、まだ変異株による感染拡大や、これに伴う行動制限が続いていると説明。
ズラブ・ポロリカシュヴィリUNWTO事務局長は、今後の展望について「ワクチン接種ペースのさらなる加速、変わり続ける旅行規制にも対応できる効率的なコミュニケーションおよび協力体制、スムーズな移動を支えるデジタルツール開発が、旅行への信頼を取り戻し、ツーリズムが再始動するためには不可欠」との見方を示した。
なお、6月時点で、国境を完全に閉じていた国は計63カ国で、今年2月時点より6カ国減。このうち半分以上となる33カ国がアジア太平洋地区。
一方、国内旅行については、各地で需要が回復しており、特に国内マーケットの大きい国ではツーリズム産業復活のけん引役に。中国やロシアでは、国内線の供給座席数がすでにパンデミック以前を越えたほか、米国でも国内旅行が順調に伸びている。