旅工房、GoTo不正受給の疑いで調査報告発表、「積極的な関与なし」も給付金9362万円返金の可能性

※編集部注:本記事は、公開当時、旅工房が発表した適時開示資料(調査委員会による報告書)をもとに記事化したものです。

今後、発表者が事実関係の修正をおこなった場合は、発表者の修正に準じて対応しますので、当事者・関係者はトラベルボイス編集部までお申し出ください。(トラベルボイス編集部追記 2024年8月9日)


旅工房は2022年3月2日、観光庁から指摘を受けたGoToトラベル事業給付金の不正受給の疑いに対する、第三者委員会の調査報告書を発表した。

報告書によると、旅工房は某社に1人1泊4万円の宿泊付き研修旅行の受注型企画旅行を計2万240泊分販売したが、実際の宿泊数は9162泊で、予定の半数以上となる1万1078泊の宿泊実態がなかった。販売した研修旅行は、宿泊料が3000円、宿泊付帯商品である研修料金が3万3000円、旅工房の手数料が4000円で、宿泊付帯商品が原価(宿泊料)に対して著しく高額であった可能性が高いことが認められた。

調査委員会では同研修旅行は、多数の不泊者の存在と著しく高額な宿泊付帯商品料金であった可能性の2点から、GoTo給付金の対象は「不適切」と評価される可能性があると判断。一方で、旅工房の積極的な不正受給の関与は認められないとした。

また、同研修旅行の催行の実態が不適切になった理由は、同旅行を企画・提案した事業者と旅行の購入事業者が、GoTo給付金によって利得を得ようとしたことによる可能性が高いとしている。

調査委員会では、不泊分はGoTo給付金の対象外となり、GoTo事務局から割引給付金の給付がされない可能性が高いとする。また、実泊分についても、本来はGoTo給付金の対象外になる理由はないとの認識を示しながらも、本ケースでは対象外とみなされ、給付金の給付ができないと判断される可能性も否定できないとみている。この場合、旅工房は旅行の購入事業者から、旅行代金割引後の5億2624万円を受け取っているが、未請求となっている旅行代金割引額を請求せざるを得ないとみている。

旅工房では今回の事案について、地域共通クーポン券9362万円分の返還を求められる可能性があると発表した。今回の調査報告の内容を厳粛に受け止め、情報提供の協力を継続していく意向を示している。

なお、調査委員会の発表によると、今回の事案は旅工房の代表取締役会長兼社長の高山泰仁氏が、JHAT代表取締役の平林朗氏から紹介を受けた、補助金活用支援・ITコンサル事業者の企画提案が発端となった。平林氏は2020年9月1日~2021年12月14日まで、旅工房の社外取締役に就任しており、2020年10月に高山氏は平林氏から、補助金活用支援・ITコンサル事業者社長の紹介を受けている。同研修旅行の購入事業者や高額な宿泊付帯商品の提供者(研修提供者)も、補助金活用支援・ITコンサル事業者が決定しており、両社の窓口にもなっていた。

また、本事案のホテル仕入れは、ジャパンホリデートラベル(JPH)が請け負ったことも判明した。JHATとJPHはすでに別事案で観光庁にGoTo不正利用を認められており、その事案でも同じスキームで高額な宿泊付帯商品(Eラーニング)の研修旅行がおこなわれた。

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