矢野経済研究所は、2035年の国内MaaS市場が2兆3608億円に上るとの予測を発表した。モビリティサービス、MaaSプラットフォーム、アプリ事業の予測を合算したもの。マネタイズに苦戦している側面はあるものの、日本の都市開発、地方創生が広がるためにはMaaSの必要性が欠かせないなどと分析している。
国土交通省によると、MaaSとは、ICTを活用して、公共交通か否か、また運営主体に関わらずマイカー以外のすべての手段によるモビリティを一つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ新たな移動の概念とされている。
同研究所は国内MaaS市場をCNSサービス(フードデリバリー)、カーシェアリング、バイクシェアリング、P2P個人間シェアリング、相乗り型ライドシェアリング、オンデマンドバス/シャトル、オンデマンドタクシー、鉄道事業者のMaaS事業、空飛ぶクルマ、ドローン、MaaSプラットフォーム、MaaSアプリの12分野に整理。2021年の国内MaaS市場を4905億9000万円と推計した。また、2030年の同市場規模を1兆7188億円、2035年は2兆3608億円になると予測した。
一方で、「MaaS事業は金がかかるし、儲からない」、「モビリティサービス売上高と補助金だけでは利益が出ない」という評価も多く、「マネタイズに苦戦している国内MaaS市場の成長予測は芳しくない」とも指摘している。
そのうえで将来展望については、「人口減少や高齢化で若者の数が減少、都市に人口が集中する中でドライバー不足の日本では、公共交通と地方の移動、経済を支え、自動車産業をモビリティ産業に変身させ、鉄道や航空産業を復活させるために、MaaSサービス、国内MaaS市場の拡大に期待せざるを得ない」と言及。
モビリティサービス事業者から収集したデータを活用した多様なMaaSサービスが必要であり、高齢者の移動と買い物の自由を支えインバウンドに地方観光時の情報と決済の自由を与える役割が求められるなどとしている。