続く酷暑で欧州の旅行トレンドは変わるか? 季節の分散化や、涼しい旅先の人気が高まる可能性

写真:ロイター通信

南欧全域で酷暑が続いている。2023年夏の傾向は今後、世界の観光客の旅行動向を変える可能性があるとロイター通信が報じている。酷暑を避けるために、旅先を変えたり、春と秋にバケーションを取る旅行者が増えると見る旅行専門家や観光組織もいる。

欧州旅行委員会(ETC)のデータによると、2023年6月から11月にかけて地中海地域への旅行を希望する人の数は、猛暑で干ばつや山火事が起きた昨年と比べてすでに10%減少。一方、チェコ、デンマーク、アイルランド、ブルガリアなどへの旅行の関心が急増している。

ある業界団体の報告によると、現在、旅行者の7.6%が6月から11月の旅行において、異常気象が大きな懸念事項になると答えているという。

ただ、パンデミック後の今夏の旅行需要は依然として増加しており、暑さによるキャンセルはまだ少ないと話す旅行会社もいる。英国の旅行代理店グループABTAのショーン・ティプトン氏によると、英国人の多くは、何ヶ月も前から地中海での休暇を予約しており、ビーチでのバケーションを待ち望んでいると明かす。

しかし、気象学者らは、7月後半の気温が2021年8月にシチリア島で記録された欧州の記録である48.8度を超える可能性があると予測。昨年の熱中症の死亡が繰り返されるのではないかと警鐘を鳴らしている。

イタリア環境省は今年の報告書で、外国人観光客は今後、春と秋に旅行することが多くなり、涼しい目的地を選ぶようになるだろうと予測した。

この傾向の変化は、旅行者の分散化につながると見る専門家もいる。ギリシャでは、1月から3月にかけて国際線の到着数が前年比87.5%増加。ミコノス島のような観光客の人気スポットでは夏の過密状態に悩まされているが、ギリシャ環境省は、冬、春、秋の旅行が増加すれば、この問題が緩和される可能性があると期待している。

スペインでは、夏の気温が低い傾向にある北部の海岸沿いや島への旅行需要が高まるか可能性があるという。

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