「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する関係省庁対策」に関する第1回の会合が2023年9月6日に開催された。
この会議は、8月26日に岸田首相が「(オーバーツーリズム問題を)政府として重要課題と受け止め、この秋にも、対策をとりまとめていきたい。」と発言したことを受けて発足。観光庁が事務局を務め、観光庁長官を議長とし、構成員として、内閣官房、警察庁、デジタル庁、文化庁、環境省が参加。国交省からは鉄道局長、自動車局長、海事局長、港湾局長、航空局長らが参加して、省庁横断での議論が始まった。今後、省庁連携による多角的な視点から議論をすすめ、実効性の高い対策を秋にはとりまとめる方針だ。
会議の冒頭で挨拶にたった観光庁長官の髙橋一郎氏は、「これまでも施策を推進してきたが、今後はより一層進めていく」と話し、参加した関係省庁に積極的な発言を求めた。
会議では、急回復する観光の動向や課題を共有。日本の観光市場が、コロナ前の水準に近い状況になりつつあり、それによって一部地域・時間帯において過度の混雑が発生している状況を共通認識として確認した。
また、オーバーツーリズムの定義を国連世界観光機関(UNWTO)による「観光地やその観光地に暮らす住民の生活の質、および、あるいは訪れる旅行者の体験に対して観光が過度に与えるネガティブな影響」とし、世界における状況や対策を整理し、今後の会議の方向性を確認した。
なお、オーバーツーリズム対策は、観光立国推進計画の3つの柱のうち「持続可能な観光地域づくり戦略」で推進される施策のひとつとしての位置づけ。先ごろ公表された2024年度の観光庁の概算要求では、オーバーツーリズム対策を含む「地域における受入環境整備促進事業」で18億9600万円(前年度16億4300万円)を要求している。