来年始まる「観光税」導入に揺れるバリ島、最大の課題は交通混雑とゴミ処理

写真:dpa(ロイター通信)

パンデミックの長い空白を経て、インドネシアのバリ島には再び多くの観光客が訪れている。狭い通りには車やバイクが果てしない列を作り、川や海にはゴミの山が見られる。

この問題に対処するため、インドネシア政府は、2024年2月14日からバリ島に入島する外国人旅行者に対して観光税を導入する。料金については依然として議論が続いているが、1回の入島で約9ドル(約1340円)となる見込みだ。

観光税は、子供を含めて例外なくすべての人に適用。 人気のギリ島、ロンボク島、ジャワ島などの近隣の島々に巡る旅行者は、バリ島に戻る際に再度料金を支払わなければならない。ただし、ペニダ島、レンボンガン島、セニンガン島への周遊については、この3島はバリ県に属しているため、その必要はない。

観光税導入によって、バリ島の玄関口であるデンパサール空港の入国審査で長い列ができるのではないかと懸念する声もある。地元観光局のチョク・バグス・ペマユン氏によると、処理にかかる時間は 1人当たり23秒以内だという。しかし、オンラインでの事前支払いが可能になるかどうかはまだ明らかになっていない。

また、観光税の導入によって、東南アジアのもっと安価で観光税のない国に旅行者が流れるのではないかとの懸念もある。

観光がもたらす深刻なマイナス影響

地元当局は、観光税は大量の観光客による悪影響に対処するための原資になると説明している。ワヤン・コスター知事は、「観光業はもちろんバリ島自体、そして国家レベルでインドネシアにプラスの貢献をしてきたが、その一方で深刻なマイナスの影響ももたらしている」と語っている。

バリ島の最大の悩みは、交通問題が悪化することと、ゴミ処理が追いつかなくなることだ。バリ島といえば、緑豊かな田園風景、絵のように美しい寺院郡、綺麗なビーチが思い起こされるが、現在、ピーク時には道路は渋滞し、空港から人気のスポットに行くまで何時間もかかってしまう。

空港とチャングーやスミニャックなどの観光地を結ぶ地下ライトレール輸送システムの建設計画が進んでおり、早ければ2025年あるいは2026年に開通すると言われているが、それが実現されるとしても、その間に観光客は大幅に増え続けると予想されている。

※ドル円換算は1ドル149円でトラベルボイス編集部が算出

※本記事は、ロイター通信との正規契約に基づいて、トラベルボイス編集部が翻訳・編集しました。

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