マカオ政府観光局は、日本人旅行者誘客に向けた活動を本格的に再開する。BtoB、BtoC両面での取り組みを強化し、2025年~2026年にかけてコロナ前の水準への回復を目指す。
BtoBでは、日本の旅行業界向けにマカオ商品の販売プロモーションを行う「アップデートセミナー及び商談会」を実施。BtoCでは、旅行先としてのマカオの認知度を向上する目的で、3月8日~10日にかけて日本橋のコレド室町テラスでPRイベントを実施するほか、9月26日からの「ツーリズムエキスポ2024」に出展する。
2023年のマカオへの入国者数は前年の約570万人から約2800万人に急回復したが、その7割近くが中国本土からの来訪者。日本人旅行者については、2019年は約30万人で第6位となっていたが、2023年はトップ10を外れ、直近2024年1月の実績でも約1万人と第10位にとどまっている。
本局から局長が来日、旅行業界との関係を再構築へ
同局のマリア・エレナ・デ・セナ・フェルナンデス局長は記者会見で「コロナ後、日本人旅行者は徐々に戻りつつあるが、現在はマカオから日本への旅行者でフライトは埋まっている状況」と明かしたうえで、日本人旅行者の回復には日本/マカオ・香港間のフライトの復活が鍵になるとの考えを示した。
マカオへの直行便を運航するマカオ航空は現在、成田、関西路線とも1日1便で運航しているが、福岡線については2020年3月以降運休が続いている。香港政府観光局(HKTB)によると、日本/香港線の提供座席数も2019年比87%。
また、フェルナンデス局長は、日本市場回復に向けては、コロナ禍で細くなった日本の旅行業界との関係を再構築することが重要との考えを示した。今後、コロナ禍中にも新しいホテルや観光施設がオープンしていることから、旅行会社やメディアの現地視察を呼びかけていく。
BtoCでは、メディアキャンペーンやインフルエンサー招致なども計画。フェルナンデス局長は「コロナ禍で旅行者の行動も変容している。メッセージの伝え方も変える必要がある」との認識を示した。
さらに、マカオ政府観光局は、団体旅行誘致にも力を入れる。インセンティブ旅行、ウェディング、教育旅行、スポーツイベント開催など、25人以上でマカオに2泊以上する団体を対象に、参加人数に応じたサポートを提供する。
このほか、フェルナンデス局長は、来年にも日本代表事務所を再び開設する計画も明らかにした。
カジノ依存からの脱却が鮮明に
マカオ政府は、2020年に6つのIR企業と新たな契約を結んだ。2023年からの10年間で、計120億米ドル(約1.8兆円)の投資が行われる計画だという。フェルナンデス局長によると、政府は、契約の条件として、スポーツアクティビティ、エンターテイメントショー、健康施設、アート展覧会などカジノ以外への投資のほか、自社施設だけでなく周辺エリアへの投資も求めているという。
そのうえで、フェルナンデス局長は今後の日本市場では、「ファミリーや若者などの小規模グループを第一ターゲットとするともに、シニア層の誘客も重視していく」と考えを示した。
マカオ政府は昨年11月、新たに今後5年間の「Diversification Plan」を策定。1プラス4として、IRに加えて、ファイナンス、ウェルネス、テクノロジー、国際会議/スポーツ/文化をの4分野に注力していく方針を立てた。観光やIRに加えて、他分野の産業の発展を促していく。
※ドル円換算は1ドル150円でトラベルボイス編集部が算出