免税制度の不正悪用にメス、観光庁と経産省が制度見直しで事業者説明会、出国時「持ち出し確認方式」へ

令和6年度税制改正大綱に「外国人旅行者向け免税制度の見直し(案)」が盛り込まれた。観光庁および経済産業省は、 それを踏まえて免税店などを対象に、見直しの方向性や今後のスケジュール案などを説明する「免税フォーラム」を開催した。

免税制度見直しの背景は?

現行制度では、不正をおこなおうとする免税購入者が、出国時に税関検査を逃れている実態があるという。高額購入者の中には消費税滞納のまま、海外に出国しているケースもあるようだ。

免税店の中には、転売目的など疑わしい者への免税販売を避ける店舗もあるが、販売機会の逸失や現場でのトラブルが後を絶たず、善良な旅行者への影響も顕在化している。

そうした事態を踏まえ、「外国人旅行者向け免税制度の見直し(案)」では、不正を排除することを目的に「出国時に税関において持ち出しが確認された場合に、免税販売が成立する制度にする」と明記。いわゆるリファンド型の新制度への移行にむけて、外国人旅行者の利便性向上、免税店の負担軽減、空港での混雑防止を前提として、令和7年度税制改正で制度の詳細を結論づけるとしている。

免税販売の要件見直しも検討

免税フォーラムでは、財務省が見直しの方向性について説明した。

見直し後は、まず免税店での販売は、これまでの免税販売から課税販売に切り替える。免税品購入者は、出国時に旅券を提示し、確認後に消費税が還付されることになる。いわゆる「持ち出し確認方式」では、出国前の一般エリアにキオスクを設置して手続きをおこなってもらうことを想定している。キオスク端末の台数は、空港での混雑などを勘案し、検討を進めていく予定だ。

消費税の還付は、現金、クレジットカード、電子マネーを想定。現金は、空港に窓口を設置することで調整する。クレジットカードおよび電子マネーの場合は、各店舗で還付方法や還付先の登録が必要になる。

また、免税販売の要件についても見直しを検討している。観光庁は、外国人旅行者の利便性向上や免税店の事務負担軽減に向けて、消耗品の特殊包装の廃止、消耗品の上限額撤廃(50万円)、一般物品と事業用との判定を不要とすることを要望している。

このほか、国税庁は、還付にあたって、税関と免税店をつなぐ「免税販売管理システム」を改修。免税店からの購入記録情報の提供に加えて、免税店あるいは承認送信事業者が免税要件となる「税関確認情報」を取得する仕組みを新たに構築する。

今年度中には、施行日を含む詳細を決定、「免税販売管理システム」の改修に向けた仕様書案の公表を経て法案が成立する見通しだ。

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