日本観光振興協会(日観振)理事長の最明仁氏が、2025年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
最明氏は、2024年1月に発生した能登半島地震の甚大な被害に触れる一方で、インバウンドが活況であるとはいえ、人材不足、混雑の常態化による地域の日常の暮らしへの影響を危惧。解決策の一つとしてDX推進による働き方改革とともに、行政、観光産業として住民への配慮、共感を得ること、観光の意義を発信し続けることが必要だと述べた。
また、2025年は大阪・関西万博、日本台湾の観光トップが一堂に会する日台観光サミット、中部圏で初めてとなる「ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸」といった国内観光イベントが目白押しであることにも言及し、日観振として全国組織の利点を活かした事業などを通じ、持続可能な観光地域づくりなど観光産業の発展を目指すと意気込んだ。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
年頭所感
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、1月に令和6年能登半島地震が発生し、甚大な被害をもたらしました。
一方、令和6年通年の訪日外国人旅行者数は過去最高の3500万人を超え、活況を呈する反面、観光の現場を担う人材の不足をはじめ、一部の人気観光地の特定スポットでは、混雑が常態化し、地域の日常の暮らしへの影響がマスコミなどでクローズアップされてしまいました。
人手不足の解決には、DX推進を加速させ、働き方を思い切り改革する更なる生産性向上及びお客さまの利便性向上に努めることが重要です。
また、行政、観光産業としても住民への配慮、共感を得ることに加え、観光の意義についても積極的に発信し続けることが必要であり、これらの結果が、観光産業が魅力ある産業であり続けるとともに、働く場として選ばれることにつながります。
当協会では、地域のマーケティングデータ戦略支援ツールである「日本観光振興デジタルプラットフォーム」を構築、地域に加え、一般企業にも広く提供を開始し、効果的なマーケティング活動の実現に活用いただいています。
また、国内地域の観光マネジメント能力向上の一助となれるよう、北米や欧州のDMOが集まる会議体にも積極的に参加し、海外の最近トレンドに関する情報収集に努め、得られた知見を持ち帰り、国内に広く発信することで、持続可能な観光地づくりにお役立ていただけるよう努めます。
国内の観光に関する話題では、いよいよ大阪・関西万博が4月に開幕します。
また、5月には日本と台湾の観光関係のトップが一堂に会する日台観光サミットを鳥取県で開催するほか、9月には「ツーリズムEXPOジャパン2025愛知・中部北陸」として、中部圏では初めて愛知県国際展示場で開催します。
こうした様々な機会を活かしつつ、全国組織の利点を活かした事業などを通じて、当協会は国やあらゆるステークホルダーとともに、持続可能な観光地域づくりをはじめとして観光産業の発展を目指します。そして、観光が経済活性化に資すると同時に、日本の諸課題解決の役割も担うことができるよう取り組み、国内外に力強く発信することで、観光の価値向上に邁進する一年にしてまいりますので、皆様には引き続きご支援とご協力を賜りたく、お願いを申し上げます。
最後に、皆様の今年一年のご多幸をご祈念申し上げ、年頭のご挨拶とさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
公益社団法人日本観光振興協会
理事長 最明仁(さいみょうひとし)