郵船クルーズ、今夏就航する新客船「飛鳥III」発表、バトラー付き客室など、初クルーズ6泊7日98万円

郵船クルーズは、建造中の新客船「飛鳥III」(5万2200トン、乗客数744人)について、サービスの詳細と初回クルーズとなる2025年7月~10月の商品を発表した。2025年7月20日に就航し、計17本、4日間~12日間の国内クルーズを運航する。

郵船クルーズにとって飛鳥IIIは、初代・飛鳥から34年ぶりに就航する新造船。就航後は、飛鳥Ⅱ(5万440トン、乗客数872人)とあわせ、同社として初の2隻体制で運航する。これにより同社のキャパシティは、一気に約2倍の821室、1616人に拡大する。

クルーズの概要を発表する記者会見で代表取締役社長の遠藤弘之氏は、日本のクルーズ市場について説明。飛鳥IIIをはじめ、新しいクルーズ客船が次々と企画され、2028年には同社が運航管理を担うディズニークルーズも就航することから、「今後、数年間で日本のクルーズ人口は大幅に増加する。当社は市場全体のさらなる成長を力強く推進していきたい。その柱が2隻運航体制」と市場拡大を牽引していく意欲を示し、「1隻に戻す予定はない」とも明言した。

そのためには「これまでクルーズに縁のなかった地域の人や、自分には関係がないと思っていた客層を開拓することが必要」と説明。副社長の西島裕司氏も「従来の顧客はもちろん、まだクルーズを試されていない人にも間口を広げる」と新しい客層もターゲットとしていることを説明した。特に50代夫婦のような現役世代のアクティブシニアなど、既存顧客より若い年齢の客層に向けても訴求を強化する方針だ。

また、サービスや商品設定も工夫を凝らす。両船は「日本らしいおもてなし」という共通コンセプトはあるものの、飛鳥Ⅱは1泊からの多様なテーマクルーズや船内イベントなどの企画を用意し、クルーズの楽しみ方を伝える「提案型」。一方、飛鳥IIIは3泊以上を中心に、より自分らしく船内の過ごし方を選べる「選択型」のクルーズを提供する。多様なニーズに対応すべく、泊数やスタイルなど、バリエーション豊富な選択肢を用意する。

飛鳥IIIイメージ(報道資料より)

より自由度の高い、新しいクルーズ

飛鳥IIIで提供されるサービスも紹介された。特徴は、自由度の高さだ。

例えば、船内でのドレスコードは「カジュアルエレガンス」(それぞれの場所にあわせた装い)のみとしたほか、食事は6つのレストランを用意。イタリアンのレストランでは、その日の厳選食材とともにシェフが勧める調理法を紹介。乗客が指定した食材と調理法で料理を振る舞う。

船内施設で注目の1つは、大浴場。船首に大浴場を設置し、入浴しながら海を眺められる露天風呂や展望サウナも設けた。

客室は全室バルコニー付きのオーシャンビューで、「ペントハウス」「スイート」「バルコニー」の3つのクラスを用意。最上の「ロイヤルペントハウス」には、郵船クルーズとして初めて、バトラーサービスを付ける。バトラーは、飛鳥Ⅱで料飲部門の経験の長い日本人などが担当する。また、1名1室利用の「ソロバルコニー」も設置する。

このほか、船内のデジタル化も推進。専用アプリをダウンロードしたスマートフォンで、チェックインから客室ルームキー、レストランや寄港地観光の予約、船内情報の案内などに対応できるようにする。

料金は、出航日やコースなどによって異なるが、初クルーズとなる2025年7月20日出航の「Maiden Voyage函館・小樽」の場合、6泊7日の日程で2名1室1名あたり98万4000円から。9月9日出航の「秋の鳥羽・博多クルーズ」は、3泊4日の日程で2名1室1名あたり37万4000円から。販売開始は2025年4月3日となる。

西島副社長は、すでに飛鳥Ⅱの顧客をはじめ飛鳥IIIへの関心は高く「おかげさまで、飛鳥IIIのスタートダッシュは相当なものになるだろう」と自信を見せた。

右から)遠藤社長、西島副社長、熱田常務

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