外務省は2013年7月3日、エジプトの渡航情報(危険情報)をカイロやルクソールなど広域にわたり、引き上げた。これにより、シナイ半島(スエズ湾、アカバ湾に面した沿岸地域を除く)には「渡航の延期をお勧めします。」、それ以外のエジプト全土には「渡航の是非を検討してください。」が発出された。
ムルスィー大統領就任1周年の6月30日にあわせて開催された反対派のデモは数百万人規模にのぼり、外国人を含む死傷者も発生。この事態に軍は7月1日、全当事者に対して48時間の期限を設定し、この間に国民の要求に応えることができなければ軍が「将来のロードマップとその履行のための手続きを発表する」ことを宣言した。大統領府は対話推進を強調しながらも、軍の声明には否定的な立場を強調。政治的・社会的混乱が進展する様相を呈している。
このため、外務省では、デモ・集会の規模や衝突、混乱がどのくらい継続するのかは不透明としながらも、政治的解決が見えないことなどから、治安の悪化や社会的混乱の拡大・継続が懸念されるとし、危険情報の引き上げを決定した。デモ・集会により、治安当局の活動が制約されがちであるため、今後はテロ等を含む重大な犯罪が発生する可能性も排除できないとしている。