このほど開催された「WIT Japan2014」には、OTA(オンライン・トラベル・エージェント)など世界のオンライン旅行のリーダーが集結。テーマに沿った活発な議論が繰り広げられ、また各社から旅行・宿泊・移動をオンラインで販売するヒントとなる事例が示された。今回は、グーグル(Google)の松濤徹氏(第一広告営業本部統括部長、旅行業界担当)が提案した「マルチスクリーン」対応について紹介する。
松濤氏は、旅行情報を得るときの消費者の行動について「スマホは最初のポイント」と話す。スマートフォンの普及は急速に拡大しているものの、消費者がデバイスを使い分けて情報を収集していることがグーグルの調査で明らかになっているからだ。それをあらわす数値として、旅行商品を探す旅行者の68%がスマートフォンで検索をしているものの購入は7%となる結果がでていることを紹介。この消費者の動きを受けて、松濤氏は旅行業界がとるべき対応として「スマホに加えて、マルチスクリーンの拡大が必要。」と語った。
マルチスクリーンとは、ひとりの人がスマートフォンやタブレット、パソコンなどの複数のデバイス利用に対応すること。グーグルでは、2013年7月に同社が実施した各種調査データを紹介したWebサイト「マルチスクリーン・ワールド」で、各データをユーザーの利用意向によって閲覧できるように公開している。
「マルチスクリーン・ワールド」では、消費者の様々なデバイスの利用方法を紹介している。デバイスの同時利用については、「スマートフォンとテレビ」は73%、「スマートフォンとパソコン」は58%、「パソコンとテレビ」は55%。また、スマートフォンからパソコンに移動してショッピングをするのは68%(逆は22%)、スマートフォンからタブレットへの移動では3%(逆は1%)、タブレットからパソコンは15%(逆は2%)。購買起点がスマートフォンとなっていることが明白だ。
上記のデータは、2013年の調査結果なので、この数値はさらに伸びていることが想像できる。こうした旅行者の行動を的確にとらえ、興味関心を引く段階、購入、旅行後の体験共有などに至るタイミングで商機を逃さないようにしたい。
▼旅行者の行動起点は「検索」
スマートフォンによる検索は、日本がアジア太平洋で首位
また、松濤氏はグーグルによる旅行関係の「検索は伸び続けている」ことを強調した。日本市場では、特にスマートフォンによる検索が他国と比べて非常に高く、2013年の同社データでは57%のシェア。これは、アジア太平洋で首位となっている。一方、タブレットは伸びているものの、日本では未だ約5%に過ぎず、オーストラリアの16%と比較するとまだまだ小さいという。
松濤氏は、旅行者のデバイス利用が変わっても「検索が起点になっている事実はかわらない」として、旅行関連の検索が20%を超える年間成長をみせている事実を明らかにした。
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(トラベルボイス編集部:山岡薫)