世界のクルーズ客船が集結する「3大クルーズエリア」、カリブ海・エーゲ海・アラスカの特徴を知る

最後にたどり着く旅、クルーズの魅力を探る(4)


7つの海を行き交うクルーズ客船。その中でも特に多くの客船が集まるカリブ海、地中海、そしてアラスカを3大クルーズエリアと呼ぶ。今回は、それぞれの特徴を見ていこう。

前回までのコラム>>>

【その1: カリブ海】 クルーズ発祥、世界最大のクルーズエリア

初心者でも安心、どんな旅行形態にも対応するバラエティ豊かなクルーズ

ロイヤル・カリビアン・インターナショナル(RCI)のプライベート・アイランドであるラバディー。

カリブ海はクルーズ発祥の地であると同時に、10万総トンを超す最新鋭のメガシップが次々と就航している世界最大のクルーズエリアでもある。客船の隻数はもちろんスケジュール的にも3泊4日から10日間以上まで、多種多様なコースが用意されている。

ひと口にカリブ海クルーズといっても、ユカタン半島のマヤ遺跡やジャマイカ、グランド・ケイマンなどを訪れるカリブ定番の「西カリブ海クルーズ」、プエルトリコやUSヴァージン諸島などの有名リゾートと免税ショッピングが楽しみな「東カリブ海クルーズ」、そして素朴なカリブ本来の自然が残る島々を訪れる「南カリブ海クルーズ」の大きく3つのエリアに分かれる。それぞれに見どころがあり、リピートするにももってこいの海域なのだ。また、船体の幅ぎりぎりの運河を航行するパナマ運河クルーズといった派生コースもある。

カリブ海クルーズの起点となる港としては、マイアミやフォート・ローダデール発のほかポートカナベラル発のコースが多いが、最近ではタンパ発着やガルベストン発着のコースなども増えてきており、クルーズの前後に組み合わせる観光地のチョイスの幅も広がっている。ひたすら陽気なカリブ海クルーズは初心者でも安心して楽しめるし、カップル、ファミリー、グループ、ハネムーンなど、どんな旅行形態にもピッタリのクルーズを見つけられるだろう。年齢を問わず、まばゆい太陽の下でカジュアルに楽しめるのがカリブ海クルーズだ。

  • 主なクルーズシーズン:通年

【その2: 地中海】 

世界遺産を含め見どころ満載

ふたつの海域「エーゲ海」、「西地中海」、さらに発展形や穴場リゾートも

歴史ある港町は海から訪れたい。ベニス。

見どころの多いヨーロッパを旅する際には、何カ国も訪れる周遊型の商品を選ぶ人が多い。この手の商品は深夜にホテルへ着いたり、出発は早朝というスケジュールが多く、疲労困憊になることも。そこでオススメしたいのがクルーズだ。眠っている間に次の観光地に着いている無駄のないスケジュール、しかも荷物を持ち歩く必要がなく、そのパッキングは最終日の1回だけで良いなど、これ以上、楽な旅の方法はない。


さて地中海クルーズは、どの海域を巡るかによって大きく2つに分かれる。ひとつはジェノバやローマ郊外の港、フランスの港などを起点にチュニジアやフランス、スペインなどを訪れる「西地中海クルーズ」、もうひとつはベニスなどを起点にエーゲ海に浮かぶ島々を訪れる「エーゲ海クルーズ」だ。

さらに発展系として、大西洋の孤島カナリア諸島やイギリスまで足を伸ばす西地中海クルーズもあるし、一方、エーゲ海クルーズではイスタンブールやクロアチアの古都ドブロブニクなどに寄港する「東地中海クルーズ」や、ボスポラス海峡を抜けてルーマニアやブルガリアなどの港に寄港する「黒海クルーズ」もある。いずれの海域でも、オプショナルツアーには世界遺産観光が必ず取り入れられている。

5万総トン以下の小型高級船は、高級リゾートに加え、知る人ぞ知る穴場的リゾートなどに寄港する。日数も10~14日間と長めのスケジュールで、乗客は年配者が中心だ。一方10万総トン強のメガシップは、免税店も揃った世界的に有名なリゾート地を中心とした大都市を中心に寄港し、7泊8日前後のスケジュールで運行されてることが多い。カップルからファミリー層まで、幅広い年齢の乗客が乗り込んでいる。

  • 主なクルーズシーズン:5月~10月

【その3: アラスカ】 魅力ある大自然と文化

地図を片手に散策できるコンパクトな寄港地、平均年齢高めで落ち着いた雰囲気

日本では観ることのできない氷河のある風景。アラスカにて。

アラスカクルーズの魅力は、運が良ければ大音響とともに海に崩れ落ちる氷河を観ることができるほか、ラッコやアザラシ、さらにシャチやブラウンベア、ハクトウワシなどの野生動物にも出会うことができるワイルドさにある。

さらに加えて、ゴールドラッシュ当時の面影や原住民の文化が残る寄港地での観光も楽しい。いずれの寄港地も、地図を片手に散策できるちょうど良い大きさだ。またオプショナルツアーに参加すると、氷河の上に立ったり、鉄道で開拓時代から代わらぬ風景を楽しむこともできる。

さらにプリンセス・クルーズやホーランド・アメリカ・ラインはクルーズに加え、専用列車でデナリ国立公園などの内陸部を訪れるツアーも実施している。海と陸の両方が楽しめるため、アラスカの魅力を横断的に感じることができる。


アラスカクルーズの起点はバンクーバーやシアトル、あるいはアンカレッジ(スワードまたはウィッティア)などが中心で、バンクーバー発着またはシアトル発着と、バンクーバーまたはシアトルとアンカレッジを結ぶ片道のコースが主だ。いずも7~10日間前後の日程が多い。

現在アラスカクルーズに就航している客船は、カリブ海などと同じく10万総トンを超えるメガシップが中心となりつつある。しかし船内の雰囲気は、乗客の平均年齢が高めとなるため、ひたすら陽気なカリブ海とは異なり、シックで落ち着いた雰囲気が満ちている。

  • 主なクルーズシーズン:5~9月

(コラム執筆:竹井智)

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…