【保存版】2014年の旅行ビジネスの動きをまとめてみた(デジタル分野編) -トラベルボイス編集部

2014年も間もなく幕を閉じようとしています。今回の記事は、トラベルボイス編集部が2014年に配信した数多くの記事から、旅行ビジネスの動きをデジタル分野に注目して4つのテーマで今年を振り返ってみました。

業界全体の振り返りはこちら>>>



▼その1:異業種からの旅行ビジネスへの参入が加速

消費者行動にあわせた新たな旅行予約の動線が誕生

2014年11月に米国のAmazonが旅行事業に参画するというニュースが世界を駆け巡りました。2014年末の段階でAmazonからの正式発表は行われていませんが、年明け早々にも正式発表がされるものとみられています。ネットで本を流通させることに成功したAmazonは、その他の物販販売でもシェアを拡大しているECサイト。そんな企業の旅行への進出は、驚きとともに、「やっぱり」という印象もぬぐえなかった方も多かったのではないでしょうか。

異業種の参入といえば、2014年の日本では、ゲーム会社大手のグリーがホテル予約事業に参画したり、同じくゲーム大手のディー・エヌ・エー(DeNA)が旅行ガイドサービスで拡大を進めたり。

また、ニュースアプリのグノシー(Gunosy)は、ニュースコンテンツ内でDeNAトラベルの旅行商品の販売を開始。交通機関の乗換え・経路を簡単にスマホで検索できるアプリからは、検索結果の経路の交通チケットが予約できるサービスが発表されました。

こうした動きは、次のテーマで説明する消費者のスマホシフトが進んだ結果ともいえるのではないでしょうか。


▼その2:スマホ対応は当たり前に

マルチデバイス対応やパーソナライズ化に移行


ニールセン報道発表グラフニールセンの調べによると、スマートフォンからのインターネット利用者数は2013年4月から2014年4月の1年間で1172万人(41%)増加、すでに4000万人を突破しているといわれています。

この数年、消費者のスマホシフトが顕著になり、スマホ活用のビジネスが活況をみせてきました。そして、今年後半になってくると、すでにスマホシフトはトレンドというよりも定着した感が漂っています。ちなみに、旅行予約でスマホがPCを上回ったことを報じたのも今年でした。

一方、消費者はPCを捨ててスマホだけを使っているわけではありません。時間、場所、用途によってデバイスを使い分けています。トラベルボイスの記事で、そのポイントを最初に伝えた記事が以下です。

世界的な旅行予約大手のエクスペディアがマルチデバイス対策を大きく発表したことも記憶に新しいことかもしれません。グローバル企業の視点が「パーソナライズ化(個人対応の最適化)」に着目している点も見逃せません。

こうして、いつでも旅行者の手の中にあるモバイル端末にアプローチが可能になったことは、旅行ビジネスに新たな視点をもたらしています。従来の「旅行前」の予約にとどまらず、「旅行中」「旅行後」の旅行者の一連のサイクルにふみこむことで、旅行者の満足度向上、ビジネスチャンスの創出などを狙う活動が多くなってきました。


▼その3;“旅ナカ”への注目高まる

旅行者の旅行中のスマホに入り込み、商機を狙う

たびのたねサイトより

旅行者の一連のサイクルで、今年動きが活発だったのは「旅行中」へのアプローチかもしれません。これまで、書籍がメインだった旅行ガイドブックが相次いでデジタル版を発表しました。消費者の「旅行コンテンツを軽量なデバイスで持ち歩きたい」という需要にこたえた対応です。さらに、ガイドブックのコンテンツを活用し、自分でコンテンツを集約する電子書籍サービスの登場も特徴的だったといえます。

旅行業では、「旅行中」の旅行者を取りこむアクティビティ、着地型ツアーなど“旅行中の体験”を売るサイトが数多く発表されました。一方、既存のアクティビティサイトや、グローバルな旅行予約サイトでは、さらに力を入れていく方針を明らかにしている企業が数多くあります。

来年は、国内・海外ともに、さらにこの分野が加速していくことでしょう。注目の分野といえます。


▼その4;「旅行」「宿泊」「移動」体験が大きく変わる

CtoCシェアリング・エコノミーが日本にも

2014年を象徴する出来事として、日本にもシェアリング・エコノミーの波が訪れたことがあげられます。2014年春には、民泊マッチングサービスのAirbnb(エアビーアンドビー)が日本法人を設立し会員獲得のキャンペーンやPR活動を加速。海外では、現地ツアーでの新規事業が立ち上がる可能性が報じられたり、航空会社との連携が進むなど、世界の潮流になりつつあります。

日本では、国家戦略特区内で不動産を活用した民泊マッチングサービス「TOMARERU (とまれる)」が登場。国家戦略特区構想に則った旅館業法の規制緩和によって生まれた新たな宿泊のカタチは、現在、国家戦略特区となる自治体それぞれの条例が整うのを待っている段階です。

シェアリング・エコノミーの世界の潮流は、日本語展開が始まっているハイヤー配車アプリの「ウーバー(uber)」や、一般家庭の料理を作りたい人と食べたい人マッチングさせる「キッチハイク(KitchHike)」など様々な分野に広がりをみせています。「旅行」「宿泊」「移動」体験が大きく変わるひとつのポイントといえるでしょう。

ただし、日本においては、法整備やガイドラインが定まっていない分野でもあります。こうしたことから、発生するトラブルや混乱をさけるためにも、来年以降は業界内外の意見を組み込んだガイドラインづくりが進むことが求められています。

シェアリング・エコノミーに関する見解をしめした注目の記事を以下にあげておきます。



【まとめ】

さて、簡単に2014年をデジタル分野から振り返ってみました。まだまだ、取りあげたいテーマはたくさんありますが、長くなりますので、このあたりで。

最後に。2014年は、“観光”産業の地位向上を実感できた年でした。特に印象深いのは、今年が初開催となったツーリズムEXPOの開会式に皇室から秋篠宮殿下がご臨席されたこと。また、オンライン旅行業界の国際会議「WIT Japan2014」には安倍首相がビデオメッセージで登場。国家を代表するトップ、リーダーが旅行産業を後押しすることで、産業の価値がグンと上がったことを実感することができました。

今年のこうした素晴らしい経験を経て、来年も旅行ビジネスは発展を続けることでしょう。一方、グローバルな競争も加速していくことと思われます。トラベルボイスでは、こうした競争に打勝ち、発展の一助になるニュースやトレンド情報などを数多くご紹介していきます。今年は、特に訪日旅行への注目が集まりましたが、観光では双方向交流が重要であることを念頭に日本人の海外旅行とともに注目を続けていきます。

読者の皆様からも、ぜひ「こんな記事が読みたい」「これって、どうなってるの?」「この記事はちょっと・・・」など、ご意見・ご要望・苦言などをお聞かせください。いただいたご意見などは、今後の編集に生かしてまいります。

各種お問合せ: Contact@TravelVoice.jp

(トラベルボイス編集部:山岡薫)

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