観光庁は2015年6月12日、「オンライン旅行取引の表示等に関するガイドライン(OTAガイドライン)」を策定した。
現在のオンライン旅行取引においては、旅行業法及び通達「インターネット取引を利用する旅行業務に関する取扱いについて」と、同通達に基づき旅行業協会が定めたガイドラインがあるが、対象は日本国内で旅行業登録をし、旅行業法令に従う国内OTAのみだった。
しかし今回のガイドラインでは、日本の旅行業登録を有しない海外OTAや旅行業者ではない仲介サイトやメタサーチ(旅行サイトの一括検索)なども対象とし、取り組みを求めていくのがポイント。
国内OTAと海外OTA、仲介サイトやメタサーチなど、それぞれ旅行業登録の要否や契約形態、条件が異なるが、消費者が利用する際に取引相手やその旅行業登録の有無を確認できないまま申込みに至ることが、消費者保護の観点から問題があると指摘されていた。これに対応するため、観光庁では2015年1月に検討委員会を設置。この結果に基づいて策定したものだ。
ガイドラインで求める表示項目は、以下の4つに分けられる。このうち(※)を付けた部分は、国内OTA、海外OTA、仲介サイト、メタサーチなどオンライン旅行取引にかかるすべてのサイトに適用するもの。それ以外の項目は、国内OTAと海外OTAのみの適用となる。全文は最下部のリンクを参照。
なお、ガイドラインの策定にあわせ、消費者向けにチェック式の啓発チラシも作成。観光庁のホームページなどでピーアールをしていく。
【ガイドラインで求める表示内容】
1.OTA等に関する基本情報(※)
(1)名称:法人である場合には登記簿上の商号を表示することが求められ、通称、屋号又はサイト名だけの表示は不適当。
(2)住所:法人の場合には登記簿上の住所、個人事業者の場合には現に活動している住所の表示が求められる。
(3)代表者等の氏名:法人である場合には、代表者又はオンライン旅行取引業務にかかる責任者の氏名の表示が求められる。
(4)旅行業登録の有無:OTAにおいては、日本の旅行業法に基づく旅行業の登録を受けているかどうかの表示が求められる。
2.問合せ先に関する事項(※)
(1)問合せ連絡先(電話番号、メールアドレス等): 複数の連絡手段を表示することが望ましい。
(2)問合せ受付可能時間:日本時間を基準とした表示が求められる。
(3)問合せ受付可能言語:日本語での問合せの受付が不可能な場合は、その旨と受付可能言語を表示することが求められる。
3.契約条件に関する事項
(1)契約当事者及び契約形態:特にメタサーチや場貸しサイト(仲介サイト)の場合に、旅行者がだれとの間でどのような契約を締結しているのか混乱しないよう適切に表示することが求められる。(※)
(2)運送等サービスの内容:不当景品類及び不当表示防止法に照らし、適切に表示することが求められる。(※)
(3)旅行代金額及び支払方法:誰に、どのような対価(宿泊代金、OTAへの手数料、消費税等の内訳)を、どのような方法(前払いか現地払いか)により支払わなければならないか表示することが求められる。
(4)キャンセル条件:キャンセル料金の発生時期、金額、請求主体、支払・払戻方法等を適切に表示することが求められる。
(5)その他の契約条項(約款):約款を一覧して確認できるページを設け、旅行者が容易に認識できるよう表示することが求められる。特に、消費者にとって不利益な条項(責任限定条項、準拠法・裁判管轄条項等)は、他の条項よりも容易に認識できるように表示することが望まれる。
(6)最終確認画面:申込み直前の段階で、運送等サービスの内容及び重要な契約条件を網羅的に確認できる画面を設け、上記の契約条件に関する事項等について、適切に表示することが求められる。
(7)契約成立時期:申込み操作を行うためのボタンに「申し込む」等と表示する等して、旅行者が、当該ボタンをクリックすることで申込みが完了し、運送等契約が成立することを容易に認識できるようにすることが求められる。
4.契約内容確認画面等
(契約が締結後、上記2.及び3.の各事項等を記載した電子メールの送信や、サイト上での確認画面を設ける等の措置が望まれる。)