イスラム圏の断食期間、旅行者が配慮すべき5つのポイント ―インターナショナルSOS

世界各国の会員企業を対象に医療やセキュリティ面のサポートを行うインターナショナルSOS社は、ラマダン(断食期間:2015年6月18日~7月17日)を迎えるイスラム諸国に向かう旅行者が気をつけなければならない渡航エチケットを5つのアドバイスとしてまとめた。飲食や喫煙、服装、オフィス内での作法、食事時間の計画などについて、現地の習慣に即した節度ある対応が望まれるとしている。

ラマダン期間に現地で旅行者が気をつけなければならない点は以下のとおり。


1. 人前では飲食や喫煙をしない

ほとんどのイスラム諸国では、断食時間中の人前での飲食や喫煙は不作法と見なされ、これは、公共交通機関と自家用車による移動中にも当てはまる。エジプトなどの国では、人前で飲食をしないことは礼儀にすぎないが、サウジアラビア、ヨルダン、オマーン、UAEなどの諸国は信教に関わらずすべての人に課せられる義務。レストランやカフェは、日中閉店となるが、多くの宿泊施設ではイスラム教徒以外の訪問者向けに、ルームサービスや仕切られた飲食エリアを提供。渡航を円滑にするために、出発前に現地の法律や習慣を確認することを推奨する。


2. 適切な服装をする

ラマダンの神聖月はイスラム教徒にとって、敬虔、質素、節制の時期。渡航者はラマダンに従う人に配慮して、肌の露出の多い服装は避ける必要がある。これは、ショッピングモール、ホテル、レストランを訪れる場合や、夕方のイフタール(断食明けの食事)にテントを訪れるときに特に重要。原則として、透ける服、短すぎる服、襟ぐりが深い服、股上が浅い服、体のラインが出る服(特にショートパンツ、ミニスカート、ノースリーブ)は避けるべき。


3. 職場のエチケットに配慮する

ラマダン中は多くの国で労働時間が短縮されるため、渡航者は短い業務時間を理解し、それに対応する必要がある。イスラム教徒との商談は、相手の疲れてなく集中できる午前中に予定するのが最適。昼食を取りながら商談を行わない、予定より長引かせないなど、断食を行う人にとって不都合にならないように配慮するのがよい。密室であれば、イスラム教徒以外の人は飲食することが許されるが、断食している人の前で飲食することは避け、オフィスの離れた場所で飲食する。断食中のイスラム教徒から軽食が提供された場合、断るのが礼儀といえる。


4. 食事と娯楽の予定を確認する

ラマダン中は渡航者であっても食事と娯楽の予定について柔軟な対応が必要。多くのイスラム諸国では、ラマダン中断のための帰宅により、日没前の時間に交通量が多くなる。ラマダンによる低血糖は、運転中の能力や集中力に著しい影響を与えるおそれがあり、この時間帯の事故率が最も高くなるため、移動は避けたほうがよい。また、ほとんどのレストランはイフタールの給仕で忙しくなるため、この時間帯は夕食の予約も避けること。多くの場所では、ライブ音楽は禁止され、ダンスクラブは休業となり、バーは禁酒となる。通常、夕方はショッピングモールが非常に混雑し、ラマダン中は渡航者の多くの行動が制限される。


5. その他のヒント

人前での愛情表現、大音量での音楽視聴、ガムをかむことも避けるべき。イフタール中に飲食店ででアルコールや豚肉を注文してはいけない。

みんなのVOICEこの記事を読んで思った意見や感想を書いてください。

観光産業ニュース「トラベルボイス」編集部から届く

一歩先の未来がみえるメルマガ「今日のヘッドライン」 、もうご登録済みですよね?

もし未だ登録していないなら…