ジャルパックは2015年度下期商品の発売にあわせ、記者会見を開催した。代表取締役社長の藤田克己氏は上期の「旅行者目線のサービス・品質改善」や「一人参加商品の強化」を継続しつつ、さらに下期はJALグループの強みを活かした商品展開を図る方針を示した。
2015年度上期は、海外旅行が前年比11%減の10万6000人、国内旅行が5%増の80万人となる見込み。海外旅行の2ケタ減は、円安や海外の政情不安などの外的要因の影響。国内旅行は、東京と大阪のテーマパークを中心とするレジャー需要とダイナミックパッケージで堅調に推移した。両極端な結果に見えるが、藤田氏によると海外・国内とも航空座席やホテルの仕入れ面で「旺盛な訪日需要がマイナス要素になった」という。
そこで下期商品では、予約の早いインバウンドへの対策として「早期予約」を重視。パンフレットの前面に早期割引「早決」を打ち出した。実際、海外・国内とも早期の申込みでないと予約がとりにくくなっているという。また、商品の決め手となる希少性の高い素材や独創性に富む「高付加価値商品」の造成も強化。特に海外ではビジネスクラスやプレミアムエコノミー利用商品を拡充し、航空座席の仕入難に対応していく。
2015年度下期の取扱目標は、海外旅行が3%増の11万4000人、国内旅行が5%増の77万9000人に設定。海外旅行では、韓国のMERSなどの外的要因の影響が続くと見て、年間計画から若干の変更を行なった。年間では、国内旅行は5%増、海外旅行は上期の減少が響き、前年割れとなる見通し。方面別詳細は下段に掲載(ダイナミックパッケージ含む)。
海外旅行は「申込みのしやすさ」を強化
方面別ではヨーロッパがポイントに
海外旅行商品は「申込みのしやすさ」をキーワードに造成。ハワイでは、送迎とダイレクトチェックイン、ホテルの組み合わせを拡充し、多様化するニーズに対応する。また、北米・南米方面では、絶景にこだわった周遊コースを拡充。
アジア方面では添乗員付きコースや女性の一人旅参加コースに加え、アッパークラス利用商品を強化。なかでもアマン・リゾートの4軒では、ビジネスクラス利用のワンランク上の旅で展開する。なお、アジアと台湾は上期見込みおよび下期計画とも前年割れとなっているが、これも訪日需要による航空座席仕入の影響が主な要因だという。
藤田氏が下期のポイントと見るのが、ヨーロッパ。上期は政情不安の影響で2割減の見込みが、下期は8%増の計画だ。治安面の懸念が薄まったのに加え、ユーロ安にシフトしつつある。下期の海外旅行代金が、燃油費の低下を地上費の高騰が上回ったため、平均で前年比2%の値上がりとなるなか、ヨーロッパ方面はユーロ安の傾向が価格にも反映された。2名催行のコースを拡充し、確実な予約取込みを図っていく。
国内旅行は沖縄が重点方面
TDR・USJのパートナーシップ活かした施策も
国内旅行商品は、下期最大の売りとして沖縄を重点に展開。「バリアフリー」と「ストレスフリー」の「2つのフリー」を実現する商品を企画した。例えば、オリジナル観光バス「JALうたばす」では10月から、北部コースに車いすのまま2台乗車できるリフト付きバスを新たに導入。無料Wi-Fiやコンセント付座席なども設定し、快適さも向上させた。
また、オリエンタルランドとスポンサー契約を結ぶ東京ディズニーリゾートでは、今年も1日限定の貸切イベントを実施。11月27日の宿泊客にはパーティ専用の無料オプショナルプランに申込み可能とした。また、羽田発の往復無料送迎バスも新デザインにリニューアルするなど、東京ディズニーリゾートでのワクワク感を高める取り組みを強化している。
このほかテーマパークでは、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンとコーポレート・マーケティング・パートナーシップを締結。8月下旬以降の発売に向けて、商品造成をしているところだ。
なお、国内旅行では2015年5月、ダイナミックパッケージに「バスケット方式」を導入。航空券とホテルに加え、レンタカーやテーマパークチケット、食事予約など、旅ナカ(たびなか=旅行中の行動)向けのオプションを幅広く用意し、追加できるようにした。以前からプラス推移だったが、リニューアル後は1.5倍程度になり「アクセルがかかっている」状態。国内の取扱人数は、ダイナミックパッケージを含む直販で6割に高まっているという。
藤田氏は、ネット販売の伸長や日本人の旅行商品にも影響するインバウンドについて、「この2つをミックスさせて、最大公約数のトレンドを追いかけるのが課題」と言及。良い商品をパンフレットでしっかりと訴求しつつ、世の中の変化への対応も強化すべきとの認識を示した。