帝国データバンクは2016年4月25日、「熊本地震の現状と今後の復興に向けて」と題する調査結果を公開した。これによると、被災地にある企業の仕入れ先は全国で1万5911社。観光産業では、大分県の別府市と由布市で特に旅館・ホテルが集中している地域に被害が集中。同県・同業種の4割が該当するため、特に外国人旅行者の増加が見込まれていた県経済への影響が少なからず発生することが予測される状況。同時に、これらの企業の取引先は九州に拠点を置く企業が多いことも判明している。
熊本県では、農林水産業に次いで、旅館・ホテル業の割合が多い(熊本県の企業数を全国と比較した特価係数で把握)。これは、食を重要なコンテンツと位置づける観光業へのダメージも想定されることを意味する。また、飲食料品卸売業の8割以上が被災地に集中しているため、県の主要産業である農産品を対象とする流通プロセスへの影響が特に懸念されることがわかった。
熊本県と大分県の産業集中状況は以下のとおり。
被災地所在企業の取引先の分布は以下のとおり。
帝国データバンクでは、これらの結果について、「観光を主要産業とする地域では個人顧客も含めた全国からの支援が重要」と分析。被災地所在企業の復活に向けた政策立案・実施には現地の実情に沿った支援が必要であるとしたうえで、被災していない企業や個人の日常行動が、被災地への大きな支援になることを強調している。
今回の調査は、同社が持つ2016年3月末時点の企業概要データをもとに、本社が被災地にある企業1万7208社の取引先(仕入先・販売先)や各地の産業の状況を分析したもの。被災地所在企業の仕入れ先は全国で1万5911社判明。被災地所在企業への販売を主力としている企業数は4829社となっている。