2016年3月にテロ攻撃を受けたベルギー・ブリュッセル市が日本人観光客の回復を目指している。このほど、現地からブリュッセル政府や観光関係者のトップが来日。日本の旅行会社を対象としたセミナーを実施し、現地が通常通りの受け入れ態勢であることを呼び掛けた。当日は、旅行会社の社員約90名が集まり、熱心に現地の声に耳を傾けた。
冒頭でスピーチを行ったルディ・ヴォルヴォールト ブリュッセル首都圏政府首相は、「テロによって150周年を祝う両国関係が壊されてはいけない」と呼びかけた。ベルギーと日本は今年外交関係樹立150周年を迎え、日本においても記念イベントが目白押しだ。事業の名誉総裁には日本側は天皇陛下、ベルギー側はフィリップ国王陛下が就任されている。
5月18日には、ベルギーのブリュッセルの「グラン・プラス」を生花で広場を埋めつくす「フラワーカーペット」の東京版がスタート。21日まで、東京の六本木ヒルズと東京スカイツリータウンの2ヶ所で、「花のじゅうたん」が敷き詰められる。本番となる現地イベントでは、8月の開催。今年は日本風のデザインが採用されるなど、粛々と祝賀イベントは進行している。
こうした中、ヴォルヴォールト首相は、国・行政をあげて安全対策を実施していることを強調。国として約4億ユーロ(約500億円)の安全対策費を投入、市内全域には1800人、すべての地下鉄駅に兵士が配置されているという。また、ブリュッセル観光局本部長のパトリック・ボンティング氏は、現在のところブリュッセル空港の約8割が稼働しており、6月末までにすべて通常通りに戻る予定であることを説明した。観光スポット(美術館など)では手荷物チェックなどが行われ、セキュリティレベルが上がりながらも通常通りの観光地として稼働しているという。
現地では、3月に発生した連続テロ後、観光客が減少した。宿泊施設の稼働率も下がり、宿泊単価も低下したという。現在のところ、レジャー客の減少は続くもののビジネス客は回復傾向で、観光局としては、テロから半年後の今年夏には通常通りの観光客が戻ることを目指している。
日本でベルギーの観光プロモーションを行うベルギー観光局ワロン・ブリュッセル局長のダミアン・ドーム氏は、4月までの日本人旅行者について「悪くない状況」であるものの、5月以降の新規予約が弱いことを明かす。現地が通常通りに観光客を迎えいれる状況にあることから、観光プロモーションをテロ以前の計画と変わりなく実施していくという。友好150周年行事などで日本での露出が増える夏に向けて、観光客の回復に努めていく方針だ。
トラベルボイス編集部 山岡薫