旅行は認知症を抑制するのか? クラブツーリズムが東北大学と共同で「旅行×健康」の研究開始

クラブツーリズムは、東北大学加齢医学研究所と共同で旅行が脳にもたらす健康作用についての研究を開始した。ツアー参加者の約65%が60歳以上という同社顧客を対象に「旅行」と「認知症予防・抑制」の相関関係を調査・研究する。代表取締役社長の小山佳延氏は、発表の会見で同社が得意とする目的型ツアーが「健康脳に良いという実証をしていきたい」と語り、研究結果が将来的な旅行の機会創出につながることに期待感を示した。

検証される仮説は「旅行に行く頻度の高い高齢者は主観的幸福感や対処能力が高く、認知機能が保たれている。」「旅行前・旅行後で脳に変化があり、主観的幸福感は向上、認知機能は低下抑制が見られる。」というもの。旅行の頻度が高いグループ・低いグループに分類してMRIや各種検査によって脳の状態把握や心理指標のデータを比較、ツアー参加者の参加前・参加後の認知機能などの変化を分析する。

東北大学がこうした仮説を検証するための検査や分析を行い、クラブツーリズムはツアー参加者に調査への協力依頼を行う。また、将来的には「脳の健康」にまつわるツアーや講座なども視野に入れているという。

東北大研究所の瀧靖之教授によると、旅行がもたらす脳への効果は旅行前から旅行中、旅行後にいたるまで続くという。旅行前に計画や情報収集では認知機能、知的好奇心を刺激。旅行中は、動くことで筋量低下を予防、旅先の新たな経験が知的好奇心を刺激し、コミュニケーションを活発にする。旅行後は、その体験を思い出すことで認知機能を刺激することになるといい、これらを調査によって「科学的に見ていきたい」と意欲を示した。

なお、瀧教授は研究パートナーにクラブツーリズムを選定した理由として同社が目的意識の強い各種ツアーを展開していることを挙げている。ウォーキングツアーや歴史の旅など目的意識の高いツアーが多数あり、その参加者が今回の研究に最適であるとみた。研究は、3年をかけて実施される。

トラベルボイス編集部 山岡薫

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