GDS事業をおこなうセーバートラベルネットワーク日本支社長の中里秀夫氏が2017年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
中里氏は所感のなかで、2017年のテーマに掲げる「Create experiences, not itineraries」という考え方に言及。モバイルがあればタビマエ・タビナカ・タビアトを快適・便利・安全にするアプリ「トリップケース（TripCase）」の機能充実や、その機能の良さをクチコミで広げるファン拡大に注力することで、同社のGDSとしての付加価値を高めていきたいとしている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
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2017年 年頭所感
新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
観光ならびに旅行産業においてITによるソリューションとアプリの提供を生業としているGDSに身を置いているものとしては、2017年にどのようなテクノロジーが業界に革新的な変化をもたらすのかを楽しみにしています。
GDS（Global Distribution Systems）をご存知の方も多いと思いますが、その歴史は古く1960年代に遡ります。旅行流通においてサプライヤーさん（当初は航空会社のみ）と主な需要サイドである旅行会社さんの間にあって、コンピュータをネットワークで繋いで商品（主に航空券）の流通に貢献しました。いわば、現在のeコマースの原型は既に50年以上前にあったと言っても過言ではありません。数十年を経てネットワークは専用線からインターネット回線に変わり、専用端末は汎用のPCまたはタブレットに変わり、個人向けにはスマートフォンにも対応するようになりました。GUIの発展により入力のフォーマットも必要でなくなり、マウスでクリックするだけで世界一周の予約も簡単に出来るようになりました。
観光ならびに旅行産業におけるインフラとなったGDS業界において、セーバートラベルネットワークは皆様のお蔭様をもちまして順調に業績を伸ばすことが出来ました。現在、セーバーシステムをご利用の旅行会社数は世界144か国425,000社、セーバーシステムを介しての取扱高は旅行会社による取扱高の約三分の一の1,200億ドル（約13兆円）ほどになりました。セーバーは世界最大の旅行エコ・システムとなりましたが、現在提供しているソリューションやツールに満足することなく、旅行を更に快適にもっと楽しく出来ないかと、弊社内の研究開発部門では次世代の予約ツールや新機能を模索しています。
携帯電話があっという間に一人一台の時代になったように、イヤホンやメガネに似た形状のウェアラブル機器を身につけただけで、簡単に旅行の予約が出来る日もそう遠くないかもしれないと思っています。「エコノミスト」によると現在、全人口の約半数がモバイルを所持しており、2020年には保有率が80％になると予想しています。確かに通勤電車内で殆どの人が何らかの目的のためにスマホ操作をする状況を見ると、インターネットが普及し始めたころに警鐘された「デジタル・ディバイド」（情報を持ったり発信したりできる人、それにアクセスできる人と、それらの行為ができない人の間に生じる格差）の懸念はだいぶ薄まったのかと思います。他方、有り余るほどの情報が毎秒毎秒発信されるような昨今、旅行において正しい情報を認識するのが難しくもありかつ重要な課題だと思われます。
セーバーの本年のテーマは「Create experiences, not itineraries」です。まず正しいデータ分析に基づいた個々人の趣向を取り入れた旅行の予約をするツールを旅行会社さんに提供します。加えて、トラベラーには個人のモバイルによる旅程の管理と予約の変更を簡単に可能にするアプリ「トリップケース（TripCase）」を提供します。双方の活用により、トラベラーの所有するモバイルが、時々刻々と状況が変わる旅行中でも「シングルプラットフォーム」として機能し、最新情報の入手と全てのデータの一元管理を行えるようなります。
その際にセーバーが注力しているのが、UI（ユーザインターフェース）とUX（ユーザエクスペリエンス）の融合です。IT技術がどんなに進んでも、「使い方が難しい」または「面白味がない」のでは、業務の効率化には程遠くなります。使い方が簡単で感覚的に使用でき、かつユーザの皆様がサービスの目的に共感して、楽しく満足して使ってもらえるツールを目指してまいります。
旅行業のネットワークならびにプラットフォームの提供を継続することにより、引き続き旅行業界の皆様に少しでも貢献できればと切に思います。
本年も何卒よろしくお願いいたします。
セーバートラベルネットワーク日本支社長
中里秀夫
観光マーケティング実務スタッフ（旅行好き大歓迎！）【株式会社マーケティング・ボイス】
