観光庁は訪日旅行者の保険加入状況と医療受診の実態調査を実施し、その結果を発表した。調査は成田、羽田、関空の各空港で、帰国直前の訪日外国人旅行者を対象に実施。3383名の回答を得た。
これによると、今回の訪日旅行で医療費をカバーする旅行保険に加入していた人は、全体の73%。地域別でみると、東南アジアが77%と最も高く、東アジアが73%、欧米豪は65%とアジア地域より低い結果に。
また、最も加入された付帯サービスは、暴飲での支払いや帰国後の保険金請求の手続きが不要なキャッシュレス診療サービス(34%)。ただし、付帯サービスについては加入者の49%が付帯なしの保険加入だった。付帯サービスなしの状況を地域別でみると、東南アジアは41%、欧米豪は38%だが、東アジアは51%と他の地域に比べて多かった。
保険未加入者が加入しなかった理由は、必要がない(けがや病気、事故にならないだろうと思った)が46%で、特に欧米豪は61%に及ぶ。一方、旅行中にけが・病気になった割合は全体の6%(192人)で、そのうち医療機関に行く必要性を感じた割合は26%。調査対象者全体の1.5%(約50人)が今回の訪日旅行中にけがや病気になり、医療機関に行く必要性を感じていたことが判明した。
また、けがや病気になった際に医療機関の情報提供があると便利だと思えるのは、宿泊先のスタッフ(47%)、保険会社(35%)、観光案内所(32%)の順。病院のウェブサイト(14%)や地方自治体のウェブサイト(8%)、JNTOウェブサイト(7%)などは低く、オンライン上の情報よりも人からの情報を頼りにしたい意向がうかがえた。
医療機関に行かなかった理由では、「日本の医療機関について必要な情報が得られなかった」(50%)が最も多く、「初めから行くのを諦めていた」(32%)が続く。必要な情報が得られなかった人の調査方法は、「見渡した」(32%)の次に「人に聞いた」(31%)「ウェブサイトやアプリを検索したが見つからなかった」(25%)が多かった。また、行くのを諦めていた理由は、「言語の意不安があった」「行く時間がなかった」がそれぞれ23%で最多だった。
なお、日本政府観光局(JNTO)のウェブサイトでは、「外国人旅行者受け入れ可能な医療リスト」を掲載。このほどその登録医療機関の数を拡大したほか、医療関係者向けに訪日外国人旅行者の円滑な受け入れのためのサポートページも作成した。