伝統工芸プロジェクトを手掛けるフュートゥラディション ワオはこのほど、日本人による「日本遺産」と旅行に関する意識調査をおこなった。それによると、日本遺産について知っているとの回答は全体の29.4%。「全く知らない」人が36.3%との結果になった。
「日本遺産」とは、文化庁が認定した文化財群のこと。日本の文化や伝統を伝えるストーリーを象徴しているものが対象で、インバウンド誘致や旅行商品企画との連携も想定。2015年に制定され、2017年度までに54件のストーリーを認定済み。2020年までに約100件の認定を目指している。
認知状況を詳しく見ると、「日本遺産を知っていて、実際に訪れたことがある」人は12.6%。「知ってはいるが、訪れたことはない」人が16.8%。「名前は聞いたことがあるがどんなものかは知らない」が34.3%となり、日本遺産が実際の行動にはあまり結びついていない状況が確認された。
一方、関心度をみると「興味がある」との回答は82.6%(※)。日本遺産に感じる価値としては、「旅行先・訪問先としての候補が増える」が47.8%でトップ。そのほか、「日本の良さや日本人としての誇りを再認識できる」(41.6%)、「地元や故郷を大切にしたいという気持ちが強まる」(30.4%)などが上位になった。
※「実際に行ってみたい地域がある」「いつかどこかの地域に行ってみたい」「わざわざ行くほどではないが興味はある」の合計。
なお、旅行中に他の人と共有したくなるの写真や動画は、「有名な観光スポット」(59.0%)が最多。次いで、「特別なストーリーや逸話がある場所・もの」(52.4%)となり、「インスタ映えする美しい風景やグルメ」(49.0%)を上回る結果に。
同レポートではこの現象について、「ストーリージェニック」という言葉が注目を集めている点に言及。思わず発信したくなるストーリー性を重視することが、旅行に関連したSNS事情に影響を与える可能性があると分析している。
この調査の対象は、関東・関西在住の18歳~69歳の男女1000名。