日本政府観光局(JNTO)理事長の清野智氏が、2019年を迎えるにあたって年頭所感を発表した。
清野理事長は2018年のトピックとして、訪日旅行市場が大きく成長し、外客数が初めて3000万人を突破したことについて触れると同時に、さまざまな災害の発生を受けて新たな安全対策に取り組み始めたことを説明。
2019年は、欧米豪9市場をおもな対象とする日本の認知度向上や地方創成への貢献をさらに強化するほか、ラグビーW杯や東京オリンピック・パラリンピックを「日本が世界から注目を集める絶好の機会」として、ゴールデンルートを超えた日本各地への誘客を推進。観光地としての日本のブランド力の向上を目指していきたいと述べている。
発表された内容は以下のとおり。原文のまま掲載する。
2019年 新年挨拶
新年明けましておめでとうございます。
2018年の訪日外客数は、過去最速のペースで8月末までに2000万人を超え、年間では初めて3000万人を突破するなど、堅調に推移を続けています。ビジット・ジャパン・キャンペーンが開始された2003年当時の訪日外客数は500万人程度でした。ここまでの道のりは決して平坦なものではありませんでしたが、訪日旅行市場がこれほどまでに大きく成長したことを感慨深く捉えています。
一方で、昨年は6月の大阪府北部を震源とする地震、平成30年7月豪雨、9月の台風21号、北海道胆振東部地震など、多くの自然災害に見舞われた年でもありました。被災地の皆様に於かれましては、この場をお借りして改めてお見舞い申し上げます。これらの災害は、外国人の訪日旅行にも少なからず影響を与えましたが、JNTOも含めた国を挙げての取り組みにより、徐々にインバウンドの波が戻りつつあります。
JNTOでは、昨今の災害を受け、外国語での正確な情報発信に努め、公式スマートフォンアプリ「Japan Official Travel App」の機能拡充や公式Twitterアカウント「Japan Safe Travel」の開設を行いました。加えて、JNTOツーリスト・インフォメーション・センターにて、24時間体制の多言語コールセンターを設置し、旅行者からの問い合わせに迅速に対応できる仕組みを作るなど、災害時の訪日客に最新の安全情報を届けられるよう取り組んでいます。
また、JNTOは、昨年10月に、21ヵ所目の海外拠点となるフィリピン・マニラ事務所を開設しました。海外のネットワークをさらに強化し、「明日の日本を支える観光ビジョン」の実現に向けて、関係省庁や自治体、民間企業等の皆様と連携の上、今後も旅行者の目線に沿ったマーケティングやプロモーションを実施してまいります。
特に、訪日市場の拡大とさらなる誘客を目指し、昨年2月より欧米豪9市場を対象とした訪日促進キャンペーン、「Enjoy my Japan」グローバルキャンペーンを開始しました。従来のプロモーション活動と相まって、訪日旅行意欲の喚起に寄与し、既に効果が表れ始めております。日本の伝統的なイメージに留まらない、豊かな自然やアクティビティ、食、アートなど、日本各地のあらゆる魅力の発信に努めており、旅行先としての日本の認知度を高め、訪日旅行を促進すべく、取り組みを強化してまいります。
地方創生への貢献としては、地方運輸局、広域連携DMO、自治体との連絡窓口として、2016年に設置した「地域プロモーション連携室」を統括する「地域連携部」を昨年7月に新設し、各地との連携を深め、地域のインバウンドの取り組みを後押しする体制を築いています。昨年は、外国人観光客に発信していきたい観光コンテンツを各地域より募集し、2000件を超えるご応募を頂きました。今後、JNTOのプロモーション活動に広く活用し、地域ならではの観光魅力の発信に努めてまいります。
また、本年は、ついにラグビーワールドカップ2019が開催されます。JNTOでは、同大会と東京2020オリンピック・パラリンピックという、日本が世界から注目を集める絶好の機会を捉え、観光地としての日本のブランド力の向上、地方誘客の促進及びインバウンド消費額の拡大を目指すとともに、大会開催後のレガシーを構築すべく、昨年2月に専門部署を新設しました。特に、ラグビーワールドカップ2019は国内12都市で試合が開催されることから、ゴールデンルートを超えた日本各地への誘客のチャンスです。地域の皆様と連携し、引き続き積極的な情報発信に取り組んでまいります。
政府が掲げる数値目標の達成と「観光先進国」の実現に向けて、そして日本をより豊かに、元気に、明るくすべく、本年も各省庁、自治体、民間企業等の関係者の皆様とともに全力で邁進してまいる所存ですので、引き続きご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。
日本政府観光局(JNTO)
理事長 清野智