凸版印刷とTIS社はこのほど、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)活用によって「離れていても体験を共有できる」技術を共同開発した。物理的には離れている人が、まるで同じ空間に存在しているような状況を創出し、コミュニケーションを可能とするもの。
今回の仕組みは、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)などを総称する「XR技術」を組み合わせて実現。1名は相手をARのキャラクターとして現実空間に重ねてみることができ、もう1名はVR空間内に再現された相手の状況を把握しながらコミュニケーションがとれる。位置情報のほか、音声やモーション情報をリアルタイムに共有。それらの情報を記録して再活用することもできる。
具体的には、例えば遠隔地にいる複数名が作業(指示)などをおこなうことを想定。従来の仕組みでは、実作業を行う際にヘッドマウントディスプレイを外して作業を行う必要があり、VR空間と実空間の行き来に煩雑さが発生。一方、AR空間を使った遠隔共有では、空間共有をするうえでそれぞれが実際にいる場所の違いが作業に差異を発生させてしまう問題が発生していた。この状況をうけ、新技術ではこういった課題を解決し、遠隔地をシームレスにつなぐ仕組みの実現を目指す。
両社はこれらの技術を使って、自動車製造やプラント建設などの工業分野のほか、教育や観光、芸能、スポーツ、接客といったさまざまな業態に活用していくことに期待している。
なお、凸版印刷が運営する印刷博物館では、今回の技術を用いた遠隔ガイドの実証実験を実施。その様子を動画で公開している。