トリップアドバイザー決算、タビナカ分野に積極投資へ、「体験&飲食」の売上げは3割増に ―2019年第1四半期

トリップアドバイザーがこのほど発表した2019年第1四半期の決算によると、売上は前年同期比1%減の3億7600万ドル(約414億円)と微減ながら、利払い前・税引き前・減価償却前利益(EBITDA)は同11%増の8900万ドル(約98億円)。純利益は420%増の2600万ドル(約29億円)だった。

売上の内訳では、タビナカ体験や飲食部門は同29%増と好調に拡大したものの、ホテル部門(メディア、プラットフォーム関連含む)が前年並みにとどまったこと、さらに「その他」部門(レンタルズ、フライト/クルーズ、スマータートラベル、トリップアドバイザー・チャイナなど)が同33%減と縮小したことが響いた。

ホテル部門の売上は、同0.4%増の2億5400万ドル(約279億円)。一方で「ダイレクト・マーケティングにおける効率追求が奏功し」(同社)、利益率が向上した結果、利払い前・税引き前・減価償却前利益(EBITDA)は同36%増の1億500万ドル(約116億円)となった。

これとは対照的に、体験&飲食部門では売上が同29%増と順調に拡大して8000万ドル(約 88億円)となる一方、タビナカ体験事業への積極的な投資を行い、同EBITDAは500%減、2400万ドル(約26億円)の赤字だった。

支出項目では、半分以上を占めている営業マーケティング費を同10.2%削減。そのほかの項目も、ITコンテンツ(同9%増)以外は横ばいで、支出合計は同3%減の3億4500万ドル(約380億円)。

タビナカ体験プラットフォームに積極投資

トリップアドバイザーでは、体験&飲食の売上増は、為替変動のマイナス影響がなければ29%ではなく35%までに達したと推計している。この成長分野における優位性を維持し、さらなる足場固めを徹底するべく、プロダクト開発、欧米アジア太平洋市場における営業スタッフの強化、パフォーマンス・マーケティングに積極的に投資している。

旅行者によるランキングでは、レビューの数だけではなく、利用者のブラウザ状況から判別できる関心の度合い、写真の投稿、クチコミの新しさなども考慮。またチャットボット経由でのキャンセルも受け付け可能にするなど、旅先に滞在中の旅行者がより気軽に利用できるサービス開発を進めている。新たに台湾、香港、中国(外国人向け)サイトでの体験予約サービスも開始した。

こうしたなか、今期はトリップアドバイザーが提供する予約可能なプロダクト数が、前四半期(2018年第4四半期)比94%増の20万2000件に増加。イベント&チケットなどの新しいカテゴリーや、気軽に予約できる低価格帯プロダクトの拡充も重視している。飲食関連でも、南米のレストラン予約サイト「Restorando」買収などにより、予約可能なレストラン数は同27%増の6万1000軒に達した。なお、レビューサイトへの広告やコンテンツ出稿などを加えると、同社と取引関係があるレストランは世界70万社ほどにのぼり、こうした優位性を活かしていく戦略だ。

旅行調査会社フォーカスライトでは、旅行アクティビティ市場は2020年には1830億ドル(約20兆1300億円)に達し、このうちツアー&アクティビティが1290億ドル(約14兆1900億円)を占めると推計。一方でトリップアドバイザーは「我々はこの分野で勝者となる。現在でも(タビナカ素材の)オンライン化において他社をリードしているが、さらなるプラットフォーム拡大と売上増を目指す」との考えを明らかにした。

※円換算は1ドル110円としてトラベルボイス編集部が算出。

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