旅行に行くときの最適な規模はどれくらいか――? 旅行会社やツアーオペレーターに聞いても、この質問にはなかなか明確な回答が得られない。しかし旅行者側の希望では非常にはっきりしていることが1つある。彼らのほとんどが、より少人数でのツアーを強く望んでいる、ということだ。
※この記事は、Arival(アライバル)社が運営するニュースメディアに掲載された英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
旅行先でのツアーやアクティビティなど、タビナカ業界に特化したイベントや調査などを展開するArival(アライバル)社はこのほど、米国人旅行者を対象とする調査レポート「Arivalガイド:旅行の未来(The Future of Touring)」を発表した。コンテキスト・トラベル社と協力して作成したもの。
それによると、米国人旅行者たちは、今後の意向として、より小規模で親密なツアー体験を強く望んでいることが判明。8割以上が、プライベートツアーや10名以下の少人数グループツアーを好むと回答している。そして、彼らが過去の旅行でどれくらい規模のツアーに参加したかは関係ないようだ。旅行者の半数以上がこれまでに大人数グループのツアーに参加している一方で、今後も大人数での団体ツアーに参加したいと答えたのはたった17%だった。
旅行者の意向と実際の行動の間にあるこのギャップは、旅行者が望むものと、彼らが実際に利用したり予約したりするものの間に大きな溝があることを示唆する。このミスマッチの根底には、いくつかの要因がある。中でも最も大きな2つの要因が、実際には利用できる少人数グループツアーが不足していること、そして、プライベートまたは少人数グループ体験の価格が高いことだ。
旅行者の願望と実際の行動の間の溝を縮めることは、タビナカ業界にとって大きなチャンスを意味する。少人数グループツアーを望む旅行者がますます増える一方で、業界は供給面でも適切な価格面でもその需要に未だ応えられていない。このことは、親密な少人数ツアー体験を提供する多くの新興企業にとって、良いニュースでしかないかもしれない。
今後の重要課題は「旅行者の満足度」の分析
同レポートでは、2つの斬新なトレンドが旅行業界のルネッサンスを推し進めていることも分析する。1つ目は、観光産業における「ツアー」の本質を再定義して、旅行者を惹きつけている新たなツアー会社やコンセプト、体験の出現。2つ目は、格安航空会社やオンライン旅行代理店(OTA)、セルフ方式の予約アプリやモバイル旅行ガイドによって促進された、個人旅行の急速な拡大だ。
旅行先で体験プランを扱うタビナカ業界では、パッケージ化されていない旅行プランにデイツアーを追加したいという個人旅行者からの需要に、うまく対応してきた。そのニーズはどんどん増えている。例えば、グルメツアーや地ビール醸造所体験から、自転車やeバイク、セグウェイ、スクーターでのツアーがある。あるいは昔ながらの観光地を新たな方法で探検するツアー、特定のテーマに知見を持つ専門家ガイドや博士が同行して深掘りするツアーまで、ここ10年間で旅行の可能性は急速に拡大してきたと言えるだろう。
このように、タビナカ業界で様々な成長とイノベーションが進む中で、旅行者の満足度にフォーカスした議論が重要となってきた。観光業界全体として以前よりも多くのオプションを提供するようになった一方で、同業界が旅行者のニーズに実際に応えているかどうかは、今のところまだ明らかになっていないのではない。特に、タビナカ分野ではなおさらだ。旅行産業の未来を見据えるうえで必要な視点として、今後も重視していかなければならないだろう。
同レポート「旅行の未来:Arivalガイド(The Future of Touring)」は、旅行者の視点から旅行の在り方やトレンドに注目したもの。米国人旅行者1000人を対象とした調査に基づくこのガイドは、タビナカツアーの役割、旅行者が本当に求めること、それらの期待に向けた業界の立ち位置を検討している。レポートの原文は、以下から無料で入手できる。
Arival リサーチ調査レポート作成協力:Context Travel
※この記事は、Arival(アライバル)社が運営するニュースメディアに掲載された以下の英文記事を、同社との提携に基づいて、トラベルボイス編集部が日本語翻訳・編集したものです。
オリジナル記事:What’s the Optimal Tour Group Size? (Hint: Think Small)
著者:ダグラス・クインビー(Douglas Quinby)
オリジナル記事:What’s Next for Tours & Touring? New Research from Arival & Context Travel
著者:ダグラス・クインビー、アン・フェイリング(Douglas Quinby、Anne Failing)